東洋医学の鍼灸院は、表参道・青山にある源保堂鍼灸院へ(東京都内の鍼灸専門院) (C)表参道・青山・源保堂鍼灸院

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第25回 健康の幅

2006年11月5日(2009年11月29日加筆)


前回はと題してコラムを書きました。今回はそのとき使った図をさらに変化させて、“東洋医学的に見た健康の幅”を見ていこうと思います。

 まず前回と同じ図を下の一番上に載せておきました。この図1の波線のように、我々の身体は常に外からの刺激や、内面の心の状態によって揺れ動いています。揺れ動いていながらも、我々の身体には、より正常な状態へ戻ろうとする恒常性維持機能(前回のコラム『虚実と補瀉』を参照)や、自己治癒力が備わっているおかげで正常な範囲の中を確保することができます。しかし、その正常な範囲を逸脱してしまうと、半健康・半病気という状態になり、身体の不調や不快感が出てきます。そしてそれがさらに進んであまりに逸脱しすぎて、その状態が続いていきますと、正常な範囲に容易に戻ることができなくなります。つまりこれが、“病気”ということになります。病気や痛みが出てきて我々は初めて健康のありがたさを実感できるものですが、できれば病気になる手前で早く処置をしておきたいものですし、できれば普段から健康な状態を維持して、病気になることもなく、正常な範囲を保っていたいものです。

 前回のコラムでは、この正常な範囲を超えたものに対して「補」「瀉」という概念で鍼灸治療を施すと言うことを述べました。今回はこの図を使いながら、鍼灸治療の効果を“健康の幅”という切り口で見ていきます。

 まず図2を見てください。これは図1の状態と比べると正常な範囲が狭くなっています。ストレスや疲れが溜まっていたりすると、我々の身体は抵抗力が下がってきます。抵抗力が下がってきますと、それだけ自己治癒力(恒常性維持機能)が下がるわけですから、正常な範囲も狭まることになります。こうなりますと、図1の時と同じような身体変化が生じた場合、図1のときよりも正常な範囲が狭くなってしまっているために、その範囲を逸脱しやすくなり、逸脱した部分、つまり病気になる(不快症状や不調な)部分が増えることになります。たとえば昨年までは花粉症があまり出なかったのに、今年は何故か花粉症がきついとか、去年に比べて毎年風邪をひきやすくなっている、といったように、今までと同じ条件なのにも関わらず症状が出たり、症状が重くなったり、不快感が増えたりする場合などは、このように正常の範囲が狭まっている可能性があります。つまり、自己治癒力が下がり、内的にも外的にも環境の変化に身体が順応できなくなっていますので、病気にもなりやすいということが言えます。

 このとき鍼灸治療は、正常な範囲から逸脱してしまった部分を取り除くことを主眼にして治療を施していきます。しかし、ここで鍼灸治療の特長的な視点は、逸脱した部分である“症状だけを追いかけない”と言うことです。病気の症状だけを追っかけてしまうと、狭くなった正常な範囲を治療していないわけですから、身体の根本は何ら変わらずに、病にかかりやすい図2の状態はそのままです。あくまで症状は身体が出している表現であって、病の根本ではありません。対処療法をしても、またすぐに症状が出てしまうのは、このように健康の幅が狭まっている状態が続いているからです。病院に行って症状を訴えると、訴えた症状の分だけ薬が増えると言われますが、これは症状だけを診ているのでこのようなことが起きるわけです。もちろんインフルエンザのように急を要する症状のときは、対処療法が大切になります。しかし、根本的に体質を改善して、風邪にかかりにくい身体にしようとしたら、この健康の幅を広げていくしかありません。鍼灸は体質改善にも効果を発揮しますが、それはこのように健康の幅を広げることができ、病気になりにくい身体を作ることができるからです。


表参道・青山・源保堂鍼灸院が施術する「本治法(ほんちほう)」は、症状を追いかける対処療法ではなく、常に身体全体を調整しながら、正常な健康の幅を回復する根本的な治療方法です。さらに良いことは、本治法を受けていますと、狭まった正常な範囲が回復して症状が取れるだけではなく、図3のように正常な範囲を広げることにもつながりますので、正常な範囲が広がりますと、図1と同じ身体の変調の波が来た場合でも、身体の抵抗力が強まっているわけですから、今まで病になっていたところも病にならなくなるわけです。もちろん悪い食生活の影響や、慢性的な状態を長い間放置して自己治癒力が下がっている状態などが続いておりますと、正常な範囲を広げる力が弱っていることもありますので、その回復する過程は患者様の状態により治癒するまでの回数や頻度などには個人差はあります。しかし、大抵の場合、自己治癒力が確実に上がるので、正常な範囲を回復・拡大して病に強い身体になっていきます。それに加えて、内外の環境の変化への順応力も高くなりますので、身体が揺れ動く変調の波自体が図4のように小さくなっていきますので、快活に生活することができます。
 当院で「本治法」を受けている患者様の表現では、この効果を「気がつくと疲れにくくなっていた。」「気がつくと腰が痛いのがなくなっていた。」というように、自然と気がつかないうちに治っていくような実感を得ることが多いようです。

  このように健康の幅である正常な状態を広げていくこと、そして内外の変化に対応できるようにしていくことが、本来の“東洋医学的な健康の幅”、“東洋医学の健康観”、“鍼灸治療の本来の治療と効果”となります。
 先日ニュースで「2008年度から健康基準の数値が変わる」というのを読みましたが、この数値の変更で健康診断を受診すると、異常を指摘される割合が男性で98%、女性でも92%に上るそうです。これは、本来人間が持っている自己治癒力である正常の範囲、健康の幅を数値の操作で画一的に固定化してしまったものからくる弊害です。数値だけの変更では健康の幅は計れませんし、数値を操作しただけでは治療にも、はたまた本来の目的であるはずの予防にも結びつかないことを、この記事そのものが端的に示しているのではないでしょうか。人間の健康の幅は本来数値で決めるものではなく、東洋医学の思想のように、数値的な境界線を持たないそれぞれの患者様が持つ正常の範囲を把握することだと思います。そして、その身体の根本を観ていくという身体観を、治療に活かして身体を調整していくことが大切であると思います。

表参道・青山・源保堂鍼灸院が施術する「本治法」は、このような東洋医学の健康観に根付いたもので、身体が本来もっている“健康の幅”を回復・維持していく治療方法です。病にかかりにくい身体を作り、根本を調整していくことは、本来持っている自分の能力を人生に活かしていくことにつながります。東洋医学本来の鍼灸治療は、このように奥が深く、その意義もまた深遠であり、人間の人生や生活を豊かにする奥義ではないかと思います。

関連情報

表参道・青山・源保堂鍼灸院の治療の特長
表参道・青山・源保堂鍼灸院 ブログ『続・鍼たま』

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資料

東洋医学の身体観である、虚実と治療である補瀉の概念図 (C)表参道・青山・源保堂鍼灸院図1

東洋医学の身体観である、虚実と治療である補瀉の概念図。不健康な状態。 (C)表参道・青山・源保堂鍼灸院図2

東洋医学の身体観である、虚実と治療である補瀉の概念図。健康で、身体に余裕がある状態。 (C)表参道・青山・源保堂鍼灸院図3

東洋医学の身体観である、虚実と治療である補瀉の概念図。健康の幅が広くなり、体調の波も少なくなった状態。 (C)表参道・青山・源保堂鍼灸院図4

より深い理解のための参考図書

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LinkIcon『黄帝内経・霊枢』
LinkIcon『陰陽五行説 その発展と展開』 根本幸夫・根井養智著 じぼう
LinkIcon『東洋医学を知っていますか』 三浦於菟著 新潮選書
LinkIcon『図説 東洋医学 基礎編』 山田光胤・代田文彦著 学研

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