第26回 五行
2006年12月21日(2009年11月29日加筆)
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このコラムや当院のブログでも何度も出てきていますが、東洋思想には陰陽五行思想というものがあります。これは萬物を五つに分類する方法で、漢代に完成し、今日も多くの習慣の中にその影響が見え隠れしています。この陰陽五行思想を医学にも応用することで、東洋医学は体系的な発展を持つことができました。この陰陽五行思想による五行の分類を表にしたものを、五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)と呼んでおり、これを利用して診察、治療が行われていきます。スペースの関係で全てを載せることはできませんが、下に示したように、五行色体表は様々なものを分類しています。
そもそも「五」という漢字にはどのような意味があるのでしょうか?
「五」の漢字の上下の横線「-」は、上が天の気で陽を表現し、下は地の気で陰を表しています。そしてその間の「X」のようなところは、上下の「-」をつなげるもの、すなわち、天の気と地の気の交流を示しており、「五」という漢字は陰陽の気の交わりを表しているわけです。 このように、古医書医学を作った人々が、この「五」という数になみなみならぬ思い入れを持っていたことが、この漢字の成り立ちからも感じることができます。
この五行色体表は、一見すると整然と分類されているので、単なる文字の羅列のような感じもしますし、これが本当に利用可能なものかどうかはなかなか理解できないと思います。しかし、実際の臨床ではこの五行色体表がないと手も足も出ません。鍼灸師は、この五行色体表から様々な情報を得て、人体の診方に様々に応用することで診断と治療をしていきます。
この五行というものは、一行一行が独立しているものではなく、左図のように、五行の循環とお互いの拮抗という関係性を持っています。五行色体表と、この循環と拮抗関係の図を常に頭の中で追っかけながら鍼灸治療は進められていきます。
東洋医学の進歩は、得にこの陰陽五行説が医学に応用されてから目覚しく進展していきますが、これは根本には自然の動きと人間の身体とは影響しあっているという東洋的な身体観を、五行により表現することが可能になったからだと思われます。そしてこの身体観は、“身体の中の五臓のバランス”をいかに保つかということが重要視されるようになり、食材の五行の分類、養生法などへもつながっていきます。五臓のバランスが整うことは無病の状態になるということで、病への予防になる、というのが東洋医学の考え方の基本となります。
とかく我々は自分の好きなものしか食べなかったり、感情的にも過度な怒りをもってみたり、なかなか中庸でいることは難しいものです。できないからこそ、この五行の関係のようなバランス感覚が求められるのかもしれません。全てはお互いに影響しあい、強めあったり、なだめたりとぐるぐる巡っています。五行は生命や自然の成り立ちの側面を表現したもので、とても奥が深い内容になっています。
関連情報
表参道・青山・源保堂鍼灸院のコラム『東洋医学って何?』
「ツボ療法を超えて5」
より深い理解のための参考図書
『黄帝内経・素問』
『黄帝内経・霊枢』
『陰陽五行説 その発展と展開』 根本幸夫・根井養智著 じぼう
『東洋医学を知っていますか』 三浦於菟著 新潮選書
『図説 東洋医学 基礎編』 山田光胤・代田文彦著 学研
より深く学びたい方へのサイト

『東洋医学・鍼灸を学ぼう!』


