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コラム 東洋医学って何?
第11回〜第15回

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第11回
小児鍼(1)道具について
2005年6月15日
第12回
小児鍼(2)治療時間について
2005年7月11日
第13回
小児鍼(3)環境について
2005年8月12日
第14回
左右の陰陽
2005年9月13日
第15回
鍼たま
2005年10月24日
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コラム
『東洋医学って何?』

小児鍼(1) − 道具について − 2005年6月15日

 当院では、こどもが健やかに成長していくために、こどものときから体質を整え、健康な身体を作っていける「小児鍼(しょうにしん)」の受診をお勧めしております。
 世間ではまだまだ「小児鍼」の認知度は低く、その言葉すら聴いたことがない方がほとんどではないでしょうか。このように認知度が低いため、誤解や偏見も多いと思いますので、今回から数回に分けて「小児鍼」を紹介していこうと思います。「小児鍼」という治療方法が、次代を担う未来の宝であるこども達の成長の助けになり、ゆくゆくは「小児鍼」の受診を続け、その恩恵を受けながら健康に能力を開花し大きくなっていった方々が、広く社会に貢献していけるようになることを願い、また、そのためにも「小児鍼」が多くの方々に身近な存在になっていただけることを願って紹介していきます。
 そこでまず「小児鍼」という言葉の響きを聞いて、皆様はどのようなイメージをもたれるでしょうか?「こどもに対してなんて野蛮な!」「こどもに鍼を刺すの!?」といぶかしく思われる方がほとんどかもしれません。鍼灸治療は痛い、怖いという誤解や偏見は、普通の鍼灸治療に対してもまだまだ思われてしまうものですが、実態をほとんど知られていない小児鍼になるとなおのことその誤解は大きいかと思われます。「かわいいわが子にそんな鍼なんて・・・」と思われるのは、当然のことだと思います・・・。しかし、しばらくそのイメージを脇においてこのコラムを読んでいただきたいと思います・・・。このコラムを読むにつれて、その誤解されたイメージがなくなっていき、「小児鍼は無痛でとてもやさしい治療方法である」ということが理解されると思われます。
 今回は小児鍼に使われる道具についてお話しします。
 鍼は右の一番上の写真中の下にある「てい鍼(ていしん)」と呼ばれるものを使用します。当院では20金で作った特注のものを使用しています。もちろん棒の先は身体に触れるため、丸く加工して肌への当りをやわらげております。
 このてい鍼は身体に刺すものではありません。右真ん中の写真のように、軽く手の中に持ち指先に固定した状態で、棒の先が身体の表面に当っているのか当っていないのかわからないくらいの軽いタッチで、手のひら全体で子供の身体を擦っていきます(右一番下の写真参照)。ほとんど棒の先を感じることもありませんので、痛いどころか、とても気持ちよく心地よい刺激となります。大人の方でも、どうしても鍼が苦手な人には同じような治療をすることがあるのですが、大人の方でも気持ちよくなり、その場で眠気を催す方もいらっしゃいます。このように小児鍼に使われる鍼は、鍼とは名ばかりで、身体の中に刺されるものではありません。身体の表面をなで擦る優しい細い一本の棒であります。
 この何の変哲もない金の細い棒がこどもの治療にどのような効果を発揮するのか、また治療時間はどれくらいなのか、そういったことを次回から追ってお話ししたいと思います。

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【右写真解説】

上写真
普通の鍼との比較
上が普通の治療に使う鍼(八分長丙鍼・銀)、下が小児鍼に使う棒(てい鍼・20金)
中写真
棒(てい鍼)を手に握っているところ。
下写真
棒(てい鍼)で皮膚をなで擦っているところ。


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上が普通の鍼。下が当院で使う金のてい鍼−(C)東京・表参道・青山・源保堂鍼灸院小児鍼で使う金のてい鍼を手に持っているところ。−(C)東京・表参道・青山・源保堂鍼灸院金のてい鍼で小児鍼の治療をしている様子。−(C)東京・表参道・青山・源保堂鍼灸院


小児鍼(2) − 治療時間・回数について − 2005年7月11日

 
 鍼灸医学の古医書によりますと、自然界の気の巡りは一周期が14分24秒であると書かれています。もちろん当時の時間単位は分秒の単位ではありませんので、この数字は当時の時間単位である「刻」というものから換算して出された数字です。具体的には当時1日を100刻と時間を定めたことから始まり、そこから1刻=14分24秒と現代の時間単位に換算したものです。この自然界の時間は人体の治療にも当てはめることが出来、われわれの身体はこの14分24秒毎に動いていきます。ですので、鍼灸治療は原則この14分24秒以内で診断、治療を終わらせなければなりません。このような原理から成人の鍼灸治療は14分24秒で治療されます。
 一方こどもの場合はどうかといいますと、もっと手早く済ませなければなりません。時間で言えば10分以内、早い場合では5分くらいで仕上げる必要があります。
 その理由の一つは、子どもは成人に比べて体が小さいことがあげられます。身体が小さいため小さい分気の巡りに時間がかからないからです。そしてもう一つの理由は、赤ちゃん、子どもの時代は、少陽、陽明といいまして、とても陽の気に満ちているときです。陽は陰に比べて巡りが早い時期です。これは治療による刺激が全身に巡るのも早いという意味です。このような理由から、赤ちゃん・子どもの治療は手早く済ませる必要があります。この手早さを考慮に入れず時間をかけてしまうと、赤ちゃん・子どもに必要以上の刺激が入ってしまいます。副作用はありませんが、治療効果が十分吸収されないことにもなりかねません。
 当院では一回の治療時間は一般の成人の方の治療でも、その効果をあげるためにかなり気を遣っていますが、赤ちゃん・子どもの治療にはさらに気を遣って行います。感覚的には鍼灸治療は治療時間をかけた方のがいい治療がされているというイメージが未だに強いですが、実際はこのような原理が身体に働いているので、時間をかけすぎない方が身体に負担がかからず大きな効果が上がります。
 治療時間がとても短いため、子どもも飽きずに治療を受けてくれますし、子どもが治療を受けたあと、自分が治療を受けるというお父さん、お母さんもいらっしゃいます。このように1日仕事にならずに治療を受けられ、時間に束縛されないというメリットもあります。
 次に治療回数ですが、小児鍼の場合は原則間を空けない方が効果が上がります。夜泣きがきつい、夜尿症、お腹をくだしているといった具体的な症状がある場合は1週間毎日とか、もしくは1週間に3、4回は来ることが望ましいです。しかし、普段の生活で子どもの体調を整えたい、健やかに成長してほしいというものであれば、1週間に1度くらいのペースでもよろしいかと思います。
 とても短時間で終わりますので、1度体験をしに当院に足を運んでいただけると嬉しく思います。

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小児鍼(3) − 環境について − 2005年8月12日
 
 現代の社会はストレス社会といわれています。そしてそのストレス社会は子供にも反映されております。子供は自分で環境を選択することは出来ませんので、親である大人、そして社会全体がその環境を整えてあげる必要があると思います。
 その子供の環境を考える上で大切になるのは、子供が親(大人社会)から受ける愛情ではないでしょうか。子供は愛情を栄養源に成長していきますが、その愛情を感じるときの基本となるのは日ごろのスキンシップと食事です。
 まずスキンシップですが、肌を触れ合うことと会話をすることです。子供の頃のスキンシップはその後の成長過程に大きな影響を与えるといわれています。それは、全身の神経系統が未発達な赤ちゃん・子供は、肌に触れる刺激によってその神経系統を発達させていくからです。特にこの幼児期は脳神経が発達、完成していく大切な時期ですので心地よい刺激をしてあげることが重要です。この神経系は漢方医学では「肺」が主っているとされ、「肺」の働きは本能や自然な気配りにつながっていくと漢方医学では考えられています。そして会話(人と話すこと)をして言葉を発するということは、漢方医学でいうところの「心」(精神の宿るところ)を育みます。未発達ではありますが、何かを伝えようとする子供の欲求を十分汲み取ってあげることは心の発展にいい影響を与えますので、子供の言葉に耳を傾けてあげてください。
 次に食事ですが、暖かい手作りの食事には家庭の愛情が表現されています。出来合いの加工食品は味も濃く、保存料も入っています。最近では添加物の少ない加工食品も増えておりますが、やはり家庭の味にはかなわないのではないでしょうか。「食事の隠し味は愛情」とはよくいったもので、子供はそういう言ったところを敏感に感じ取っております。そして食欲が安定するということは「脾・胃」を充実させることにつながります。
 このように、スキンシップ(「肺」)、会話(「心」)、食事(「脾・胃」)がしっかり揃うことで、それぞれの生気が充実していった結果として生命力の根源である精(「腎」)が満たされていきます。
 子供は感じているストレスを言葉で表現することは出来ないため、それを病気や身体の症状として表現としていることも多くあります。鍼によって身体を緩め、体質を改善するとともに、親としても子供の姿をよく観察して、子供のための環境を整えることが必要です。親の子育てへの過度な緊張が子供に伝わったり、かえって子供は心底安らげないということもあるようです。
 小児鍼は子供とのスキンシップを大切にする治療方法であり、食欲と消化力をつけていく治療方法です。親御さん(大人社会)の愛情を基礎としながら、子供の成長に必要なお手伝いをする療法が小児鍼です。

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スリランカで撮った写真。仏陀に奉げる蓮の花を売っています。−(C)東京・表参道・青山・源保堂鍼灸院


左右の陰陽 2005年9月13日
 
 他の治療院に通っていた患者さんが当院の治療を受けた後に話される他の治療院の治療との違いの一つに、鍼を身体の左右両側に刺さないことを挙げられることがあります。このコラムを読んでいる方でも、背骨の両脇に田んぼの稲穂のようにたくさんの鍼を刺している光景を見たことのある方もいらっしゃると思います。
 しかし当院ではこのように両方のツボを同時に使うことはほとんどありません。それは、同じツボであっても左右で作用に差があり、左と右には陰陽があり、それが全身治療を標榜する東洋医学の哲学にもつながり、その左右の陰陽の分類が治療の効果に結びつくからです。
 身体が壊れるとき、まず漢方では陰陽の平衡が崩れると捉えます。これはどういうことかというと、シーソーで言えば、どちらかに加重がかかり(もしくはどちらかが軽い)平衡が保たれていない状態です。シーソーがこのように不均衡のとき、両方に加重をかけては不均衡は動きません。不均衡を平衡に戻すためには、浮いているほうに加重するか、下がっているほうを軽くする必要があります。このシーソーの単純な原理と同じように、身体が不調のとき、身体の陰陽の平衡が崩れているのですから、崩れた身体のバランスを平衡状態に戻すためには、左右を分けてツボを使用する必要があるわけです。
陰陽平衡と鍼灸治療の原理の模式図−(C)東京・表参道・青山・源保堂鍼灸院
逆に言えば、左右両方のツボを同時に使用してみても、同じ力を加えているのですから身体は均衡を取り戻す反応を示してくれないわけです。
この左右を分ける一つの基準は男女を陰陽で分けることです。これはすでに陰陽論として東洋哲学の分野で分けられており、男性は陽で左、女性は陰で右となっておりますので、男性を治療するときには左のつぼを使い、女性は右のツボを使うということになります。これは左右の陰陽を分ける基本中の基本ですが、さらに左右を分ける基準には作用の違いがあったり、患部(症状のある部分)の逆を取るという(巨刺の理論)ことなどがあり、それらを加味しながら左右のツボを使い分けなくてはいけません。
 このように、当院の鍼灸治療は慎重かつ的確に左右のツボを使い分けます。この使い分けには身体を全体的に見つめる東洋医学の診方によるもので、東洋哲学・陰陽論が根底に流れているわけです。

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鍼たま 2005年10月24日

 
 万古の人々は、「やまとことば」には「言霊(ことだま)」が宿ると考えていた。
 この言霊の思想は日本語に限らず他の言語にもあるようだが、我々の遠い祖先は、言葉というものを使用し始めて以来、言葉の持つ力を強く実感していたのであろう。そして、幾千もの年月を経た現代でも神道の祝詞や仏教の般若心経が未だに使われていたり、ヒット商品のコピーライティングなどが重要視されるのを見ると、この現代においても「言霊」の力は続いていると思われる。
 この「言霊(ことだま)」という言葉にあやかって、今月始めた治療院日誌のブログのタイトルを『鍼たま』とした。
 『鍼霊』としたいところではあったが、それではあまりにも仰々しいので、『鍼たま』とした。見た目も、発音も、柔らかくいいタイトルになったと自負している。
 鍼灸に使う鍼は、言うなれば「何の変哲のない銀の針金」である。髪の毛くらいの細さで先を尖らせてあるだけ。そう言ってしまえばそれで終わってしまう。しかし、その何の変哲もない針金が、古の鍼灸発祥のころから受け継がれてきた東洋医学の原典を頼りに人体に使用されると、病を治癒する強力な道具に変化する。この変化は、上述した言葉が使い方や使うときの思いで突然力を発揮する姿にも似ていると思う。誰が考え付いたのか、どのように考え付いたのかははっきり分からないが、人体を見つめる視点と自然を見つめる視点が融合してこのようなシンプルな道具につながっていったのであろうと思われる。
 一説にはあの昔話の一寸法師は、鍼治療のことを寓話として物語風に伝えたものとも言われている。一寸法師は最後一寸の針で鬼に挑み勝利を修めるが、現代的な検査がまだ未発達な時代において、病は「邪」と捉えられており、それを治す手段としての鍼は不思議な力を持つものとして頼りにされていたのであろう。さすがに現代においては病の原因を「邪」の仕業とは言わなくなったが、これだけ検査技術が発達してもなお、人体は小宇宙と喩えられるように未だに神秘的な謎が多く残されており、現代医学的には解明されない病も増えている。そういった中で、鍼灸治療はこの二千年以上もの間、数々の変遷はあれども、根本は廃れずにしっかりと残って現代に受け継がれている。東洋医学で常用される経絡の存在も、ツボの解明も完全には成されていないものの、鍼で病が治るという厳然たる事実は二千年以上の臨床の歴史の中で実証されており、その臨床は鍼灸には最も古く、最も新しい科学が存在しているという紛れもない証明がそこにあることを意味する。
 このように鍼は臨床において現代でもとても有効な手段ではあるが、さらにもっと有効たらしめるものは、鍼を使う人、つまり施術者・鍼師の思いや気持ちではないだろうか。道具は使う人によってさまざまな様相を呈する。鍼灸の鍼についても例外ではない。「医は仁術なり」と言われるように、施術者の態度や思いが鍼に込められると、鍼は一層力を増してくる。一寸法師が鬼を退治したように、私も気持ちを込めて一つ一つ鍼をしています。
 そんな心の「たま」を伝えられるよう、そして鍼灸というものに馴染みをもっていただこうとブログを作りました。どうかそちらもご覧になっていただき、ご意見・ご感想をいただければ幸いに思います。
 時代とともに鍼灸も電気通電を用いたり、指圧などの手技を取り入れたり、材質もステンレスが増えるなど、さまざまな変化をしていますが、表参道・青山・源保堂鍼灸院は、“源を保つ”という名前の通り、鍼灸医学の原典・古医書を基にした鍼灸の専門院として研鑽を続けています。

当院ブログへ → 表参道・青山・源保堂鍼灸院ブログ『鍼たま』

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