東洋医学の鍼灸院は、表参道・青山にある源保堂鍼灸院へ(東京都内の鍼灸専門院) (C)表参道・青山・源保堂鍼灸院

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第30回 ため息

2007年9月7日(2009年11月29日加筆)


 当院に通われている患者様より、「ため息って東洋医学的に説明できるんですか?」とご質問を受けました。ため息は深いストレスによる身体表現ですので、多くの方もついついため息をついてしまうことがあるかと思います。ため息をつく本人はもちろんのこと、周囲の人にもため息の暗い気分は移ってしまいます。そこで、東洋医学の視点で見たため息を考えてみたいと思います。
 東洋医学の原典中の原典である『黄帝内経素問・霊枢』。この『霊枢』の「第二十八口問(くもん)篇」という中に、ため息は「太息(たいそく)」として記述があります。この「口問篇」は、ため息の他にくしゃみやあくび、げっぷなど、誰にでも起きる生理現象を解説した篇です。(以前このコラム書きました「くしゃみ」でもこの「口問篇」を取り上げました。)
 そこにある太息についての記述を意訳して書いてみます。
「憂いや思い煩いは、心臓を中心とした系統を急迫させ、気道を束縛し、通りを悪くします。そこで、この束縛された気道を広げるために、太息が生じます。」

(『霊枢・第二十八口問篇より/源保堂鍼灸院・院長・瀬戸意釈)

 このように東洋医学で見ますと、ため息の機能的原因は、気道が狭まることにあります。これは、ため息が出るときとの状況を思い出すとわかることだと思いますが、心配事や悲しい出来事、考え事などがあると、胸が締め付けられるようになり、呼吸が浅くなっています。そしてそんなとき、無意識に何とも言えない太い息(太息)をもらし、それがため息になります。
 このように身体の機能的な面で見ましたら、気道を広げることでため息を減らすことができますが、根本的には憂いや思いわずらいの原因となっている現実的な問題や諸事情が改善していかなくてはいけません。しかしそういった問題は簡単に解決できるものではありませんので、なかなかこれだけではため息を減らすことはできないかもしれません。でもやはり、今はまだ解決できない諸事情がありながらも、不快なため息は極力減らしたいと思うのも心情です。周りに対しても、自分にとっても、ため息というものは、ストレスによる身体症状ですから、身体の面だけでも解決しておきたいものです。

 そこで、もっと積極的に身体の側からも、解決の糸口を見つけたいものですが、ありがたいことに「口問篇」の続きには、「手少陰心主、足少陽を補う」と治療方針が書いてあります。この治療方針を意釈しますと、“精神の中心である「心臓」と、それを補佐する「胆のう」を助けましょう”ということになります。
 そこで、まず心臓を助けるために自分でできることは、会話をすることです。言葉をしっかりと発語して話すことです。下の色体表にも示したように、心臓は「言」に配当されます。これは言葉、発語を意味します。発語をすることで、心系統が動きますので、会話をすることを心掛けてください。そして心臓は、心臓以外の他の肝・脾・肺・腎によって支えられている存在ですので、後天の気である食べ物にも気をつけ、また、心臓が統率する血を休めるためにも、血を蔵する肝臓を休めるためにも十分に睡眠を取る必要もあります。
 そしてもう一つ補うべき胆のうですが、これは血を清浄する働きの臓器です。そこで、この働きを助けるために、血液をきれいにしてくれるたまねぎ(春夏に効果的)、れんこん(秋冬に効果的)といった野菜を多く食べることも大切になります。また、胆のうは油に弱いので、揚げたものや油の濃いものはなるべく控えるようにしてください。また、この胆のうの特徴には、「直にして疑わず。故に決断が出る。」(『讀素問鈔』より)という記述があるように、決断力を支える作用があります。ですので、直面している問題を直視できなくても、やはり逃げずに向き合う時間をもち、問題解決のための具体的な策を練ること、そしてそのために素直な心持ちを心掛けることが大切になると思います。

 ため息が多いとき、ため息が出そうなとき、私は、「剛正果決」「中正」「直にして疑わず。故に決断が出る。」という胆のうを表現するにふさわしい岡本太郎先生の言葉を思い出します。最後にその言葉を引用させていただきます。


CA7MIZGW.jpg「賭けとおし、貫いて運命を生きる、そのためにつまらぬ目にあい、不条理に痛めつけられても、それはむしろ嬉しい条件として笑って貫きとおす人間でありたい。ふりかかってくる災いは、あたかも恋人を抱き入れるように受ける。人間のノーブレスだ。
逃げない、はればれと立ち向かう、それが私のモットーである。」『歓喜』岡本太郎著 P7より引用

資料

五行
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より深い理解のための参考図書

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LinkIcon『東洋医学を知っていますか』 三浦於菟著 新潮選書
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