『からだにおいしい野菜の便利帳』
監修 坂木利隆
発行 高橋書店
価格 1365円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
東洋医学・鍼灸医学の養生の基本は医食同源。本書は、患者様へのアドバイスに重宝するだけではなく、一般家庭にも一冊置いておきたい本です。見易さ、内容の豊富さに注目です。
東洋医学・鍼灸医療は、古来より現代に至るまで、「医食同源」を標榜してきました。この形の一つが『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』や、『本草綱目(ほんぞうこうもく)』などに代表される本草書と呼ばれるジャンルのものです。このことからも分かるように、我々が普段口にする飲食物は、我々の身体を作る基であり、それはすなわち健康の基ということになります。そこで、「医食同源」を標榜する東洋医学・鍼灸医療を実践する者は、患者様の健康の管理者として、治療とともに、こういった日常生活の食事・食物といったことへのアドバイスをすることもまた重要な治療の一環になります。
この『からだにおいしい野菜の便利帳』は、まさに野菜に関する現代の“本草書”といった内容になっております。栄養成分、旬、保存方法などの基本情報を始め、原産地やその野菜にまつわるエピソード、おいしいものの選び方、そして効果的な食べ方などが豊富に納められています。また、例えば同じにんじんでも、金時にんじん、ミニにんじんなど他の種類のことも載っております。全編カラーページで写真も豊富で、版の大きさもめくりやすい本になっています。
家庭の主婦を始め、治療者、健康をアドバイスする方など、多くの方に重宝される一冊です。ありがたいことに、値段もおとくになっているのが、これまた家庭的だと思います。
『家庭でできる「農薬・食品添加物」の落とし方』
著者 増尾清
発行 PHP研究所
価格 1260円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
食材に使われる農薬や食品添加物は、安全と言われながらも、気になるものです。本書では、料理をする前に加えるちょっとした手間によって、その量を減らすことを薦めています。昔からあるおばあちゃんの知恵など、多くの方法を提案しています。
我々が口にしている食材の種類は多様です。野菜、お肉、果物といったものが、生の状態だけではなく、加工品としても様々な形をとって我々の口に運ばれてきます。毎日食べる食品だからこそ、その中身には気を配りたいものです。しかし昨今の食品偽装や、食品加工の不備などのニュースを見ますと、その責任を供給者だけに任せておくことは難しく、消費者側も自己責任、自己防衛として、食についての知識を多少なりとも知っておく時代になってきたようです。
一般的に食の不安の中には、残留農薬、硝酸塩、食品添加物などがあります。これらの不安を過度に気にしていては、食べるものが無くなってしまうと思いますし、またこういったもの避けるために無農薬のものを食べるにしても、家計に負担ががかかり、限界があります。そこでいかに食材を食べていくかという調理方法での解決が一つには大切になります。
本書は、昔からおばあちゃんの知恵として伝わる“下ごしらえ”の中にこそ、食材への不安を取り除くものがあるという発想に立って書かれています。例えばきゅうりを食べる前におこなう板ずりや、食材を一度ゆでてから使うゆでこぼしなど、これまで伝統的に行っていた何気ない食材への気配りが、残留農薬を減らしたりする新たな知恵として現代にも蘇ります。伝統的な下ごしらえは、単に食材の不安を取り除くだけではなく、ご飯をおいしくいただくという知恵にもなり、一石二鳥の方法です。
食材の下ごしらえは、本来は食材への気配り、食材の特徴を活かそうとする工夫から発したものだと思います。そしてその根底には、家庭の人々においしく食べてもらいたいという優しさがあったのだと思います。一つ一つの食材を活かすことで、食が安全なものに変わり、そして一家も楽しく過せるようになるというのは、これはおばあちゃんの知恵という範囲を超えて、医食同源を体現する人類的大きな智慧のように思います。
『東方栄養新書-体質別の食生活実践マニュアル』
著者 梁 晨千鶴
発行 メディカルユーコン
価格 2100円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
東洋医学・鍼灸の一分野である食養生。各食材が持っている東洋医学的な分類をし、あわせて現代栄養学の知識も豊富な本。家庭でも使える本なので、一般の方にとってもとても参考になる本です。
東洋医学には本草学というものがあります。この本草学は、漢方薬に使われるような薬草だけではなく、あらゆる自然界のものを分類した百科事典のようなもので、『神農本草経』、『本草綱目』などが有名です。特に東洋医学・鍼灸医療の面で見ますと、我々が普段の生活で口にする食べ物は、医食同源という言葉からも、とても大切であることが分かります。
この『東方栄養新書-体質別の食生活実践マニュアル』は、冒頭に東洋医学の概念を詳しく解説してあり、また、食事に関する注意点なども詳しく述べられています。
各食材には、「体質・症状の相性」、「自然の属性」という東洋医学的な観点からの表が付いており、その食材が持っている性格が自分に合っているかどうかがすぐ分かります。本文の記述は、西洋医学的な知識・栄養学の記述の他に、東洋医学から見た食材の性格が併記されております。その他本文の記述には、「コラム」、「古典より」、「話題の栄養素」といったものもあり、参考になる豆知識を得ることができます。この本の記述の引用には、『本草綱目』の名前がありますので、古典的にも信頼のおける一書ではないかと思います。
『本草綱目』など、古典にある本草書は、まさしく百科事典のごとくたくさんのものを扱っていますが、現代のこの時代と比較しますと、バナナやトマトといったその後新しく移入された野菜や果物は含まれていません。そういったものも東洋医学的に見て考察したいものなのですが、いかんせん古典が書かれた時代にはなかったので、その記述を見つけることはできません。そういった意味では、この『東方栄養新書-体質別の食生活実践マニュアル』は、現在我々が手にできる一般的な食材のほとんどを網羅していますので、現代の本草書としてとても役に立つと思います。お値段も安いので、家庭に一冊おいておくことをお奨めいたします。
『ふたりで食べたい子宝レシピ』
監修 森本義春
料理 平野美由紀・清水紀子
発行 主婦の友社
価格 1200円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
色とりどりの料理が豊富なので、妊娠に必要な栄養を楽しみながら摂ることができる本です。妊娠についての知識も書かれているので、患者様にもお薦めでき、一冊あると便利だと思います。
まずこの本の素敵なところはタイトルではないでしょうか。タイトルにある“ふたりで食べたい”というところに、この本の趣旨と愛情が込められているように思います。最近では不妊の原因は男性にもあるという認識が高まってきたものの、やはりまだ不妊で心を傷めるのは女性のほうが多いと思います。とかく女性のほうに不妊の原因があると思われ、そこに周囲のプレッシャーが集まってしまうことが少なくありません。しかし、子供を授かるということは、女性だけではなく、男性もしっかりと不妊に向き合うことが大切で、夫婦ふたりの共同作業として考えることが必要だと思います。また、普段の食事は、身体を作る基礎にもなりますし、身体を作る基礎を整える食事は、家族としての絆や愛情を育てる基にもなります。
本書は東洋医学・鍼灸医学の視点ではなく、現代栄養学に基づいて書かれたレシピ集です。現代栄養学を基にしていますので、妊娠に不可欠な栄養素を満遍なく摂れるような趣旨でまとめられているようです。本書の章を挙げますと、「妊娠しやすい体をつくろう!」「めざせ妊娠!「気がかり」解消レシピ」「春夏秋冬 季節の素材で妊娠パワーGET」「デトックス&マクロビオティックにチャレンジ」「超簡単 子宝スイーツ」といった内容になっており、各章の最初には妊娠への食のアドバイスがあります。また各レシピには栄養に関するコメントがありますので、一つ一つのメニューを理解しやすくなっています。その他に「めざせ子宝!Q&A」というコラムもありますので、妊娠について必要な知識を知ることにも役に立ちます。写真や装丁もきれいですので、楽しく読んで、楽しく活用できる一冊になっています。
妊娠をしたい方はもちろん、不妊治療に携わる職業の方にもよきアドバイスになる一冊です。
『薬膳美人』
著者 杏仁美友
発行 マガジンハウス
価格 1500円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
身近で手に入りやすい食材でできる薬膳料理を紹介している本です。簡単な料理が多いので、忙しい方にもお薦めです。東洋医学・鍼灸医学を学ぶ者、患者様へのアドバイスにも役立つ内容です。
薬膳といいますと、漢方薬にも使われるような生薬がふんだんに使われているもので、一般の家庭では作れないと思われている方も多いかと思います。薬膳=漢方=病気の人が食べるもの、というイメージももたれているかもしれません。もちろん高級な生薬や、特別な生薬を使ったいわゆる我々が持っている薬膳のイメージそのものの薬膳料理も存在し、かつては皇帝も食べていたという、庶民には高嶺の花のメニューもあったりします。
しかしそういったものは、なかなか普段から食べられるものではありません。本来薬膳の思想は、普段の食事を通して身体の不調を改善していこうというものですが、高価で貴重な生薬ばかりを使った薬膳では、日常に食べることができませんので、本来の薬膳の姿からは遠くなってしまいます。毎日の食卓を通して健康を保つからこそ、薬膳の本来の意味が活かされるのではと思います。
そこで本書は、普通にスーパーで買える食材24種類を基に、64の簡単レシピを紹介しています。スーパーで買える普通の食材が基ですから、これなら日常生活に生かすことができますし、日々の生活の中に毎日取り入れることができます。
本書では薬膳の考え方が簡単かつ明瞭に書かれています。パンダのイラストを利用して、寒・熱・気虚など、漢方・東洋医学の理論に基づいて体質を8つに分類していますので、家族や自分の体質を考慮に入れながら食材やレシピを選ぶことができます。各食材の現代栄養学的な知識も掲載してあったり、薬膳の基本も書かれているので、とても重宝な一冊です。レシピはどれも簡単に作れるものですので、手間隙をかけられないときなどにも有効なメニューが多くあります。







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