『食品の裏側』
監修 安部司
発行 東洋経済新報社
価格 1400円(税別)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
普段我々が日常的に口にしている様々な食品の中には、実に多くの添加物が含まれています。我々が見ることができない“食品の裏側”を、明確に伝えてくれています。一方的に食品添加物を否定する本ではなく、食品の現実を知っておくための本です。
本書では、食品添加物の元トップセールスマンである著者が、食品に使われている添加物の現実を赤裸々に語っております。かつてはメーカーの要望に応えるために、あらゆる添加物を提供してきた方が、自分の家庭の食卓に上がったミートボールを見て我に返り、会社を辞めて今度は食品添加物への警鐘を鳴らす側になったところから話が始まります。
著者は闇雲に食品添加物を否定するのではなく、ある程度その利用価値を容認しつつも、現在の食品添加物における不公平な位置づけを明るみにしたいという視点で記しています。
現在我々が手にする加工食品のほとんどに食品添加物が使われていますが、食品添加物には「安い」「早い」「便利」といった主に経済的な良い面もあり、そのおかげで我々は安く食事を手にすることができています。しかしその利便性・経済性を享受する一方で、「安全」「食の温かさ」「健康」といったものを放棄するということになっています。現在のところ、この両者を同時に満たすことは困難ですので、添加物のあるものを摂ることも否定せず、うまく付き合っていくバランス感覚が求められているのだと著者は言います。最終的に判断をするのは、食品を買うときの消費者のバランス感覚で、それは強制されるものではなく、自由です。
しかし、そのバランス感覚でもって自由に判断するためには、正しい情報が必要です。正しい情報を元に、消費者が自分の判断で食品を選択することが公平な情報と呼べると思いますが、食品添加物に関する情報は、まだまだ不公平であります。一般の消費者の無関心をよそに、添加物表示における逃げ道や隠れ蓑が多いことにより、消費者が知る機会を失っています。また、食品添加物だけではなく、製造過程も不明朗ですので、消費者が食品の情報を知る機会はほとんど失われているといっても過言ではないようです。我々はメーカーの宣伝文句やパッケージなどを鵜呑みにして、イメージで食品を選択する傾向にありますが、その無知さがさらに食品の裏側を広げてしまっているようです。
本書の中ではコーヒーフレッシュや、インスタントラーメンなどの粉末スープなどの作り方が書いてありますが、その現実を知ると、食指も伸びなくなると思います・・・。
食品添加物がどれだけ身体に悪いのか、本当のところはまだわかっていないのが現状だと思います。身体に影響が出る方もあれば、出ない方もあるでしょうし、長い期間の追跡調査も必要ですので、その因果関係の詳細を明らかにすることは現在のところは難しいでしょう。本書はそのあたりの証明はしていません。それは確かにこの本の限界であります。あくまで本書は、食のあり方、食の大切さを、食品添加物という我々があまり知らない食の裏側という切り口で伝えてくれる一冊とご理解ください。食の裏側も表側も両方知ることで、選択の自由を獲得するための最初の一歩的な本だと思います。
東洋医学・鍼灸医療において、食は健康の第一の条件です。患者さんに食養生をする立場の東洋医学・鍼灸医療に携わるものにとって、食の現状を伝えるときに、知っておいてもいい内容だと思います。



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