『食べ物とがん予防 健康情報をどう読むか』
監修 坪野吉孝
発行 文春新書
価格 760円(税別)
お薦め度 ☆☆☆
テレビや雑誌にはとても多くの食に関する情報が流れています。おびただしい情報の中から、それがどこまで有効なのかを自分で見極めていく必要があります。本書はその指針を示してくれています。
あるテレビ番組である食品が取り上げられると、その日の夕方にはスーパーからその食品がなくなるということがありました。そしてその後別のテレビ番組では、制作会社が食品の効果をでっち上げたことが発覚したことがありました。しばらく食品の効果を取り上げる番組は鳴りを潜めましたが、それでもこういった番組が消えることはありません。食品の情報というのは、瞬く間にお茶の間に行き渡り、消費者の購買行動をも動かしてしまうほどの影響力を持ちますが、その影響力に比べて、その情報が正しいかどうかという吟味をする個々のリテラシーは、残念ながら向上は見られないのが現実です。ある意味食品はブームであり、ブームの中で何となく摂取していると言うのが一般消費者ではないでしょうか。ブームになっても、たとえそれに害が無ければ問題はありません。しかし、時に食品は毎日摂取するものですから、場合によっては健康を増進するどころか、健康を害してしまうことがないわけではありません。現に、あるテレビ番組で放送されたものを食べた方が体調を崩すということも過去に何度かありました。
こういった情報が氾濫する中で、私たちは、私たち自身で身を守っていく必要があります。また、鍼灸師と言う立場であれば、正しい情報を患者様に届けると言う義務、責任があります。そういった中で、食品に関する情報を安易に鵜呑みにするのではなく、この情報はどこまで正しくて、どこまではまだ未確認なのか、仮定の話なのか、それとも実用段階の話なのか、吟味していく必要があります。
本書は、食べ物にまつわるニュースやテレビ番組などを、どこまで信用していいのかというチェックの仕方を解説しています。どれぐらいの集団で行われた調査なのか、論文発表されたものなのか、学会発表だけなのかなどなど、その基準を一つ一つ解説してくれています。本書に載っている、著者が行っているニュースソースのチェックを実際に自分でやってみると、意外に多くの情報が不完全であることが分かります。本書第二部は、食品に関する論文を著者自らが吟味していますが、しょうしょう取り上げている論文の数が多すぎて単なる羅列になってしまっているような感じがしますので、第一部のところだけ読めんでも十分に本書の内容を理解したことになると思います。タイトルは、『食べ物とがん予防』で、副題は「健康情報をどう読むか」となっていますが、副題のほうが本書の内容に近いと思いますので、そういった意味で評価は☆3つとしておきました。
患者様に食事のアドバイスもすることになる鍼灸師にとっても、食材、食品の情報を選別するための良い指針になる内容です。
本書の著者である内田悟氏は、レストラン専門青果店「御厨(みくりや)」の店主で、野菜のエキスパートとしてプロの方からも厚い信頼を得ている方です。
本書は、旬の野菜をおいしくいただくための調理技を伝授するという内容で、内田悟氏の野菜への洞察がすべて詰まったものです。本書の最初の方には、「まずは手にとり、よく見てかいでみる」「野菜の身になってみる」「野菜の世界にも、相性がある」といった内田氏独特の見解が打ち出されており、この基本から、菜の花、トマト、セロリ、ピーマンなどなどの各論に入っていきます。
東洋医学の食材選びの基本の一つに、「旬のものを選ぶ」というのがありますが、これは内田氏のお話しと一致しておりますので、そういった意味でも東洋医学・鍼灸医学としてもおすすめの一冊になると思います。
本書は写真がとてもきれいで、作業の一つ一つを細かく解説しています。フォントも読みやすく、料理中に参考にすることができるようなちょうどいいサイズになっているのも実用的で、便利です。
「春夏版」と「秋冬版」と二冊揃えれば、一年を通して野菜を楽しむことが出来ること、間違いありません。
『おうちで、薬膳なべ』
著者 岩崎啓子・漢日本堂
発行 河出書房新社
価格 1260円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
身体に良い食材を使った薬膳鍋。外食ではなく、自分のお家で出来たらもっと良いだろうなぁと思っていた方に、おすすめの一冊です。
東洋医学・中国医学の一分野でもある食養生。その食養生の中でも、最も医食同源を体現したものが薬膳。その薬膳の考え方をベースにしたのが、薬膳鍋や火鍋などと呼ばれるものです。少しずつ日本でも薬膳という言葉が浸透し、火鍋を提供するお店も増えているようです。
薬膳、火鍋と言いますと、手に入りにくい食材を使用していることもあり、外で食べることがほとんどかと思います。しかし、外に食べに行く特別なものではなく、家でも薬膳鍋が楽しめたら、日頃の健康の維持や増進が手軽になるのではないでしょうか。本書はタイトル通り、そういった日頃家でも薬膳鍋を食べたい方にうってつけの内容の本です。中には手に入りにくい食材もありますが、それもまた薬膳鍋の由縁故に、チャレンジしたくなります。
本書は、漢方薬店や、漢方の講座を主催している漢日本堂が監修したものなので、内容も充実しています。トマトベースの変り薬膳鍋などもありますので、お子さんのいる家庭でも楽しめそうです。おいしく身体を温めながら、かつ健康も増進する。しかも家庭でそれができるなんて、とても重宝する一冊です。





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