解説『鍼灸重宝記』 本郷正豊著/小野文恵解説
著者 本郷正豊
解説 小野文恵
発行 医道の日本社
価格 3360円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆
江戸期の古医書は読みやすいものが多いと思います。古医書の入門書として呼んでみるといいかもしれません。
※現在『鍼灸重宝記』はアマゾンでは中古品のみの扱いです。新しいものを購入の際は、医道の日本社に直接注文すると良いと思います。
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『鍼灸重宝記』は江戸時代(徳川吉宗の時代)に書かれた書物で、読んで字の如く、鍼灸についての“重宝”な情報をコンパクトにまとめた書物です。著者の本郷正豊については詳しいことはわかっていません。
本書は九鍼の話から始まり、鍼の刺し方、東洋医学の臓象学、経穴の話しなど、鍼灸の臨床をするために不可欠な概念を、過不足なくまとめています。特に経穴のお話しや、各論などは、今読んでも役に立つものが多いのではないでしょうか。
人知れず経絡治療を実践していた伝説の八木下翁は、この本を金科玉条として『鍼灸重宝記』本郷正豊著大切に、そして何度も繰り返し読んでいたそうです。このことからも、本書が現代においても臨床に役立つことが分かると思います。
江戸時代の本ですが読みやすい本ですので、古典の入門書としてお薦めです。本書を解説している小野文恵氏は、経絡治療草創期のメンバーの一人で、接触鍼の名人だったことで有名ですので、その解説の中にも参考になるところがたくさんあるのが、本書の良いところではないでしょうか。
『脈法手引き草』
著者 山延年
校閲 岡部素道
発行 医道の日本社
価格 1575円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
江戸時代の脈診の本。わかりにくい箇所もありますが、脈診を記した本としては今でも参考になるところが多くあります。
鍼灸治療にとって脉診は大切です。証を立てるときにも、ドーゼの確認にも、脉診が出来ると治療の確信も深まってきます。自分の脉診力は、治療家としての自信に直結してくるのではと思います。そこでどの治療家も何とか脉診をマスターしたいと願っているのではないでしょうか。
しかしながら脉診の本はいくつかあり、どれを基準にしたらいいのか分かりにくいところがあります。どの本にも特長があり、どの本にも良いところがあります。好みは分かれると思いますが、この「脉法手引草」は江戸時代に書かれた脉診の本で、脉診のイロハから、各病症の脉について詳しく記してあります。古医書の入門書としても読みやすく、ぜひ資料としても一冊手元においておきたいものです。
校閲は、経絡治療草創期のメンバーの1人である岡部素道氏が担当しています。
『やさしい中医学入門』 関口善太著 東洋学術出版社
著者 関口善太
発行 東洋学術出版社
価格 2730円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
必要最小限ではありますが、必要不可欠な東洋医学の基礎理論を、図やイラストともに分かりやすく解説している好著。ごく初歩的な方から、少し勉強が進んだ方にとっても全体を把握しなおしたり、確認するのにいい本です。
東洋医学・鍼灸医学を理解し、実践していくためには、東洋医学の五臓六腑や気血営衛といった独特の生理学を十分に把握しておく必要があります。現代医学の理解と重なるところもたくさんありますが、重ならない昨日解剖学的なところは、特に注意して学ぶ必要があると思います。
五臓六腑に関していえば、例えば「心は神を蔵す」「心は血脈を主どる」など、それぞれの臓器にいくつかの働きを定義しています。各五臓六腑の働きが異常になることで病気が起きますので、この働きを覚えておくことは、どれだけからだが悪い方向に傾いているかをしるための、臨床の基準になります。
この五臓六腑がそれぞれ持っている働きを覚え、理解することは割りと容易ですが、単体だけで起きる病は少ないので、これだけでは臨床に不十分です。ここからさらに進んで、五臓六腑がどのような結びつきをし、どのような働きを享受しているのかを網羅していくことが必要となります。例えば血に関してですが、「肝は血を蔵す」と言い、「脾は血を統制する」とも言います。血という身体の中を巡る物質に対して、肝と脾の両者がどのような関係でつながっているのかは、五臓六腑の単体の生理学だけでは理解が難しいところがあります。そこで、同じ血に対して、肝と脾の両者がどのように関わっているのかを把握していかないといけません。このような微妙な違いを理解、把握することは、そのまま臨床での病気の把握と治療方法の選定につながっていきます。
本書は各項目に、四角で囲った要約があり、次に解説文、そしてその解説文をまとめた各臓器間の関係図がついております。この関係図は、体全体を把握するためのチャートです。東洋医学・鍼灸医学の理解を深め、臨床に役立つ知識を身につけるために、文章を読みながら、この図もしっかりと頭に入れることをお薦めいたします。
本書はタイトルに“中医学”という名称が入っていることからも分かるように、中医学を基礎にした解説です。中医学は、現在中国でスタンダードに学ばれている中国医学の基礎理論で、その体系に癖はなく、過不足なく学べますので、経絡治療の方でも、現代鍼の方でも、利用価値のある内容となっています。
『超旋刺と臨床のツボ』
著者 首藤傳明
発行 医道の日本社
価格 3360円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
経絡治療の第一人者である首藤傳明先生の、臨床のお話し満載の一冊。本書では首藤先生の超旋刺という刺鍼技術と、生きたツボを使う取穴のコツを伝授しています。
首藤傳明先生は、伝統鍼灸学会の会長や、経絡治療学会でも役を務める先生で、鍼灸界では知らない人がいないくらいの先生です。私も鍼灸学校の学生のときに、首藤先生の治療院に3日ほど見学をさせてもらいに行ったことがありますが、先生を慕い、先生の治療を受けにやってくる患者さんはとても多く、朝から夕方までひっきりなしにやってきます。毎日の患者さんの数は、先生自身の技術とお人柄によるたまものだと思います。また、これだけ毎日臨床をしていれば、臨床家としてたくさんのものを患者さんから教えてもらっているのだろうと、医道の日本や講演会で聞くお話の裏にある経験の裏づけを、首藤先生の鍼灸治療院で目の前で見せていただきました。
首藤先生には既に『経絡治療のすすめ』 首藤傳明著 医道の日本という本があり、これは、脉診を学び始めた人の入門書として広く読まれています。『経絡治療のすすめ』 首藤傳明著 医道の日本の出版から長い月日が経ち、ようやく記された待望の書が、『超旋刺と臨床のツボ』です。
この『超旋刺と臨床のツボ』は、タイトル通り、首藤先生が臨床の中で編み出した「超旋刺」という刺鍼技術の解説と、臨床でよく使われるツボのお話がメインとなっています。特に臨床のツボの解説はとても面白く読むことができます。ツボのお話しといいますと、よくあるのは病名とツボをつなげたものと、ツボの位置が書いてあるものだと思います。本書はそういった基本的なことはもちろんのこと、まず秀逸だと思うのは、取穴方法がイラストでしっかりと図示されていることです。例えば二の腕にあるツボを取るときなどは、手を回外にしているか、回内にしているかで、位置が全く違ってきます。こういったずれが起きないように注意が必要ですが、普通の本に書いてあるようなツボの位置だけでは、取穴に自信が持てないものです。このあたりの不安を本書は解消してくれます。次に本書が優れている点は、臨床家として首藤先生が経験してきた一つ一つのツボの特長を、先生の体験談を交えながら分かりやすく述べているところです。首藤先生は、現在でこそ経絡治療の先生ですが、臨床家としてスタートしたばかりの頃は、澤田流を臨床の支柱にしていた方ですので、おそらくたくさんのツボを臨床の中で使ってきたのだと思います。そういった経験から気づいたツボのお話しは、経験の浅い新米鍼灸師はもちろんのこと、経験を積み重ね始めた頃の臨床家にもとても役立つことばかりです。
その他治療院経営のお話しなどもあり、本書は首藤先生の臨床経験の集大成となっています。とても分かりやすく、読みやすい本ですので、臨床家として一読しておく価値はあるかと思います。
『鍼灸治療基礎学』
校訂 澤田健
著者 代田文誌
発行 鍬谷書店
価格 4305円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
初版は昭和15年で、長年愛読されているベストセラー。澤田健先生の通い弟子であった代田文誌氏が、自分の臨床経験を織り交ぜながら、一つ一つのツボを、多くの書物からまとめあげた著作。澤田健先生の治療体系も垣間見ることができます。
鍼灸治療の基本となる経絡は、十二正経と、奇経に含まれる任脉と督脉です。中国の医家である滑伯人(または滑寿)は、この二つを併せた解説書として、『十四経発揮』という本を書き上げ、これは日本の経穴学の基礎となる一冊とされてきました。ここからも分かりますように、経絡の中でも、この十四経はたいへん重要視されてきました。本書はその十四経とそのツボの解説を中心に、澤田健先生の澤田流太極療法のポイントを解説しています。
本書は様々な古医書を元にしながら、著者である代田文誌氏の臨床経験を加味して、十四経の経穴をまとめ上げています。取穴部位はもちろんのこと、経穴の別名や、その主治も載せてありますので、経穴をもっと知りたい方や、これから経穴を覚えていく鍼灸の初心者などにもお薦めですし、ベテランの先生のとっても、時折めくるにはちょうどいい本かもしれません。
代田文誌氏は、その当時その名も天下に轟いていた、お灸の名人である澤田健先生の通い弟子をしていた人です。澤田健先生の治療を間近で見ながら、澤田健先生の治療体系を学び、長野の自宅に戻っては実践し、そしてその成果を書物としてまとめて、多くの鍼灸師に啓蒙をしてきた方です。また代田文誌氏は俳人としても活躍した方ですので、文章とその内容にも定評があります。代田文誌氏が書いた『鍼灸眞髄-澤田(沢田)流聞書』 代田文誌・澤田健著 医道の日本社と併せて読みますと、より澤田健先生の姿が蘇ってきますので、両者合わせてのご購読をお薦めいたします。
代田文誌氏のそのほかのお薦め本
『鍼灸眞髄-澤田(沢田)流聞書』
著者 代田文誌・澤田健
発行 医道の日本社
価格 2205円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
お灸の名人であった澤田健先生の治療風景がよみがえるような一冊です。澤田流太極療法と呼ばれる選穴の基本を学ぶことができます。鍼灸を学び始めた初心者の方から読める本です。








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