『身体運動の機能解剖』
著者 Clern W. Thomson, R.T. Floyd
翻訳 中村千秋、竹内真希
発行 医道の日本社
価格 4515円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
腰痛、肘痛などの運動器疾患は、鍼灸の臨床で多いものです。どのような動きで痛みが発するかなどを知るためには、運動器の動きを知っておく必要があります。そしてそれを経絡に応用することで、鍼灸医学に結びつくと思います。本書は運動器の動きを、たくさんの写真と図を使って解説しておりますので、臨床で傍においておきたい一冊です。
鍼灸医学で身体を理解しようとする場合、身体の動きに関しては経絡・経筋といったものをイメージしながら見ていくことが多いものです。しかしながら、それら経絡・経穴といったものは、鍼灸医学を専門にしているものにとってはスタンダードなものであっても、世間一般的に知られているものではありません。むしろ患者様が鍼灸院に足をお運びになる時には、「整形外科では胸鎖入突筋に異常があるのではといわれたのですが・・・。」とおっしゃったり、、また、スポーツを専門にやっている方などは、「ハムストリングが・・・」と専門用語を使う方も多くいらっしゃいますので、鍼灸治療者としてもその言葉と解剖の意味を知っておく必要があります。また、そういった身体の動きに関する解剖を知ることは、現代解剖学の知識を習得するという意味だけではなく、その動きを知ることによって、経絡・経筋の分布を理解する手助けにもなります。
本書は、身体の動きとそれに関わっている筋肉や骨の動きを、写真とイラストで丁寧に図解しております。身体の動きを理解するとともに、患者さんに動きのテスト(経絡テストなど)をするときにも、これらの図がとても理解の助けになります。本としても扱いやすい大きさと紙質なので、手元においておいて参考にするにも便利です。特に鍼灸学校に通っている学生の方には、解剖学をスムーズに理解し、学ぶために最適な一冊になると思います。一般の方、たとえばスポーツをやっていて、ある筋肉だけを特別に鍛えたい場合などは、この本を参考にして、その筋肉を使う動きを勉強しておくと、トレーニングの効率化につながると思います。
お薦め医学辞典
東洋医学・鍼灸医療も医学ですので、西洋医学的な知識も必ず必要になります。
そこで、常に臨床のそばに置いて参照にしたいのが医学辞典です。最新の医学用語を収めた辞書をお奨めいたします。
『南山堂医学大辞典』発行 南山堂 お薦め度 ☆☆☆☆☆医学を学ぶ方、臨床家の方全てにお薦めです。 【内容(「MARC」データベースより)】 |
『最新医学大辞典』発行 医歯薬出版 お薦め度☆☆☆☆☆医学を学ぶ方、臨床家の方全てにお薦めです。 【商品の説明(「MARC」データベースより)】 |
CASIO電子辞書 XD-A5900MED製造 CASIO お薦め度 ☆☆☆☆☆臨床に役立つ辞書が詰まった、常に傍に置いておきたい一台です。 CASIOから出ている電子手帳の医学モデル。上に示した『南山堂医学大辞典』の他に、医学を専門にする者が持っていたい辞書(内蔵されている医学関連の辞書を下に列挙しておきます)を収録しています。電子辞書の中でも値段が高いモデルですが、全ての辞書を購入したときの値段とそのスペースを考えましたら、こちらがお得かもしれません。レスポンス、使い勝手ともに抜群なので、辞書を引く手間を考えたらこちらを一つ持っておくと学習にも便利です。 |
【このモデルに含まれる医学関連の本】 |
『【決定版】病院の検査まるわかり辞典』
著者 日野原重明・林田憲明・平松園枝・武田京子著
発行 PHP研究所
価格 1890円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
病院で行う検査の目的や方法、数値の見方などが網羅されている便利な一冊です。
鍼灸治療は東洋医学の診断方法を使用しながら診察し、治療をしていきますので、現代医学的な検査とは直接関係はありません。しかし、直接関係がないとはいえ、決して無視できるものではありません。患者様の中には、検査数値などを細かくお話になる方もいますので、そのお話に耳を傾けるためにも、検査について知っておくことは大切になります。また、現代医学の検査内容を知っておきますと、東洋医学・鍼灸医学の知識をよりわかりやすく患者様に伝えるためにも役立ちます。
東洋医学・鍼灸医学の専門用語や専門的な概念を、現代医学的なものとすり合わせて考える時にも、こういった検査の内容は助けになります。
本書は、聖路加病院の各科の専門医師が分担して執筆、監修したもので、わかりやすく検査内容を伝えてくれています。
鍼灸の臨床の傍らに置くことはもちろん、こういった本は、家庭に一冊ありますと便利な本でもあります。
『ビジネス<勝負脳>』
著者 林成之著
発行 ベスト新書
価格 730円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
東洋医学・鍼灸医学における脳の位置づけを考える上で、現代の脳科学からのアプローチも必要だと思います。患者さんへのアドバイス、自分のやる気の持続という意味で一通り読んでおくと、どのように脳を使ったらいいのかというヒントになると思います。
東洋医学・鍼灸医学では、脳は奇恒の腑というものに配当されています。奇恒の腑とは、五臓六腑には所属せず、単独で機能を果たすというものを指します。そして東洋医学・鍼灸医学では、精神の中心は心臓にあると考えています。この脳と心臓についての考え方を一見しますと、現代医学と東洋医学の乖離を感じます。同じ“身体”というものを観ていながら、どうしてこのように異なった見解になるでしょうか・・・。しかし、脳・脳髄は、腎ともつながっており、腎(水)と心(火)は、水火既済といって陰陽から、精神の生成にも深く関わる関係であります。精神という言葉は、腎=精、神=心という二つの関係をそもそも示したものです。腎と深い関わりのある脳もまた、精神の座であることは、東洋医学は既に2000年前に喝破していたわけです。
現在脳科学というのは、医学の中でも最先端の一つでもあり、脳の活用は生活全般に関与しているとも考えられています。
この著書の林成之氏は、北京オリンピックの競泳陣を脳科学の側面からサポートし、大きな成果を挙げたことで一躍有名になりましたが、もともとは日本大学医学部付属板橋病院救急センターで部長を経験し、世界でも有数な救急センターに育て上げた方であります。組織というものは、あるピークを堺に劣化していく現象を多く見ますが、林氏は劣化して行くどころか、いつまでも無限に成長できるような組織作りを目指し、そして実際に多くの実績や新しい救命方法なども編み出すに至り、その挑戦は現在も続いています。
このような組織を作り上げた林氏のノウハウが、この本に凝縮されています。組織を伸ばしていく方法と、劣化していくものを摘んでいく方法という二つの方向を手段として取ることで、組織を伸ばしていくことができることを示しています。
またこの本は、一貫して“この世の中は脳の仕組みと相似形になっている”という考えに沿って書かれておりますので、脳の仕組みについての解説もありますので、医学的な知識を知る手助けにもなります。
また鍼灸院の経営、勉強の仕方なども、この本はたくさんのヒントをくれるものになっています。とても読みやすく、かつ実践的な内容で、様々な分野に応用可能な本になっています。
『男が知りたい女のからだ』
著者 河野美香
発行 講談社ブルーバックス
価格 903円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
タイトルがあまり好きになれませんが、医学として男性が女性の身体を理解することは、社会の平等や社会での評価を是正することになると思います。また、東洋医学・鍼灸医学の臨床的においても、女性の身体を理解することは、よりきめ細かい鍼灸治療ができることにつながりますので、一読して、時折見返したい一冊です。
東洋医学・鍼灸医学の古典を読んでいますと、“女性は男性よりも多くの病気をしがちである”という記述を目にすることがあります。これは、女性の場合、子供を産む機能を持っているために、男性よりも様々な面で繊細であり、特別であることを示した言葉であると思います。また子孫繁栄の礎には、子供を産み、子供を育てるという女性の力が何よりも尊いものだと感じており、医療者としても、女性を診るときは慎重にしなさいという戒めに近いものだと思います。
このような記述からも分かるように、東洋医学・鍼灸医療は、昔から女性を大切にし、女性に特有の病気をよく観察してきた歴史があります。実際の臨床においても、月経不順、生理が来ない、不妊症などを愁訴に訴える女性は多く、またこういった症状は西洋医学よりも、東洋医学・鍼灸医療の方が得意分野であることも少なくありません。そういった意味からも、もう少し多くの女性に、鍼灸医療・東洋医学が効果がある医療であることを知ってもらえたらと思います。
鍼灸治療家にとっても、これから多くの女性の声を聴き、女性の身体を治していくことは、女性の社会進出に対しての支援にもつながりますし、ひいては社会貢献にもつながることになります。そこで、女性の身体についてよく知っておく必要があります。治療の面では鍼灸医療・東洋医学的なアプローチをするわけですが、患者さんの声を聴くためには、女性の身体を現代医学・現代生理学という面でしっかりと把握しておく必要があります。まず生理はどうして起きるのかなど、基本的なことは押さえておかなくてはいけません。本書では、このような基本的な現代生理学の知識を学ぶことができ、また、それをベースにした男女の身体・機能の違いによる性差、そしてそこからくる男女の性格や動向の違いなど、幅広く、そして読みやすい例を挙げながら述べられています。
ブルーバックスという新書ですが、内容はとても濃いものがあります。『男が知りたい女のからだ』というタイトルからしますと、どうも隠微なものを想像しがちで恥ずかしいところもありますが、内容はしっかりとした“医学”です。男性だけではなく、女性にとっても、女性自身を知るためのお薦めの一冊です。









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