AX

【中級者向けの本(1)】 of 書評 表参道・青山・源保堂鍼灸院

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

東洋医学・鍼灸を学ぼうby表参道・青山・源保堂鍼灸院
東洋医学・鍼灸の本の書評

中級者向けの本(1)

HOME > 【中級者向けの本(1)】

『図説東洋医学基礎編』 山田光胤・代田文彦著 学研

『図説 東洋医学 基礎編』

著者 山田光胤・代田文彦著
発行 学研
価格 5097円(税込み)

お薦め度 ☆☆☆☆☆

とても分かりやすい本で、東洋医学・鍼灸医学を学び始めた方に特にお薦めです。イラストや図もふんだんにあり、レイアウトもよく、『黄帝内経』の理解や、東洋医学全体を理解できる好著です。

btn_amazonbuy.gif

 初版は1979年に発行された本ですが、いまだに発行を続けているところに、この本の信頼度があります。内容は、東洋医学の基礎を一から平易に述べていったスタンダードなものであり、図が豊富に付されているので、とても分かりやすくなっています。東洋医学を最初に学ぶとき、まず初めに東洋医学で使われる基本的な用語の理解が必要です。この理解に躓きますと、学習が進んでいったこの先の段階で壁にぶち当たることになります。鍼灸治療は、学問と実践が車の両輪になって、どちらも欠くことなくお互いを研鑽しながら上達していくものですが、そのためには学問の基礎を作っておく必要があります。この本は、その基礎を理解するためにとてもお勧めです。著者の山田光胤・代田文彦両氏は、東洋医学に精通した先生でありますので、記述も安定しており、両者の講義を受けているようで、イメージがわきやすくなっています。
 鍼灸や東洋医学を学び始めた初学者が最適な対象となるかと思いますが、一般の方が読んでもわかりやすい内容になっています。辞書的な本としても一冊あると便利かもしれません。

『難経の研究』 本間祥白著 医道の日本社

『難経の研究』

著者 本間祥白
発行 医道の日本社
価格 3990円(税込み)

お薦め度 ☆☆☆☆☆

昭和初期に、古典的な鍼灸を求めて集まった経絡治療のグループの一人であった本間祥白先生渾身の作品。『難経本義』など、これまでの『難経』の注釈本に並ぶ歴史的な一冊といっても過言ではありません。経絡治療を学ぶ方には必読です。

btn_amazonbuy.gif

 『黄帝内経』と並んで鍼灸のバイブル的存在として『難経』という本があります。これは、『黄帝内経』をベースにしながら、より実践的、臨床的な部分を81の章にまとめて書かれたと言われ、著者は扁鵲とも言われています。
 経絡治療の元となる「虚したらその母を補い、実したらその子を瀉す」とは、『難経』の六十九難から来ています。その他の記述もすべて臨床に役立つことばかりで、無駄のないエッセンスが凝縮された内容になっています。
 しかし原典に書かれた本文はとても簡潔な文章で、その文が示す中身を理解するのは容易ではありません。『難経』が世に生まれてから、様々な医家が解説をしており、その中でも元の時代の滑伯人(滑寿)の書いた『難経本義』などは日本でも親しまれてきた古医書の一つです。
 本書『難経の研究』は、経絡治療草創期の本間祥白氏によって書かれた本で、『難経』を読み始める古医書初心者の方にはお奨めです。本間先生は、上述した『難経本義』をはじめ、当時にあっても多くの原著を読まれている方なので、原典に触れている著者の幅広い知識と、その内容の的確さがそこにはあります。初版が発行されて40年以上経ちますが、その内容は未だに示唆が多く、経絡治療、本治法、古典的な鍼灸術を学ぶときには、常に傍に置いておきたい一冊です。
 またこの本は、本間先生の遺作ともなりました。序文には、本間先生の師匠であった井上恵理先生のお話などもあり、日本経絡治療の基礎を築いた方々の遺志を今に伝えています。

『誰にもわかる経絡治療講話』 本間祥白著 医道の日本社

『誰にもわかる経絡治療講話』

著者 本間祥白
発行 医道の日本
価格 2625円(税込み)

お薦め度 ☆☆☆☆☆

昭和初期に経絡治療を復興した熱きグループの一人である本間祥白先生の本。“誰にもわかる”というタイトルの通り、内容は基礎的なものになっており、経絡治療を学ぼうする初心者向けの本です。専門過ぎる内容なので、一般の方には不向きです。

btn_amazonbuy.gif

 昭和の初期、東洋鍼灸学校の創設者である柳谷素霊が、「古典に還れ」と日本の鍼灸家に問いかけました。その号令によって、古典的な鍼灸治療を追究する人々が、音頭をとった柳谷素霊の下に集りました。この集まりによって、それまで経穴と病名をつなげただけの対処療法的鍼灸治療から、歴史の中で埋もれてしまっていた病因病症を基にした治療の再興がはじまりました。そしてこの治療方法は、“経絡治療(けいらくちりょう)”と名づけられ、その研鑽と研究が進められていきました。
 この『誰にもわかる経絡治療講話』は、草創期のメンバーである本間祥白によって書かれた名著です。
 東洋医学本来の理論は、荒唐無稽なものではなく、古医書治療を行う上ではなくてはならないもので、しっかりと臨床に活かせるものです。この本は、鍼灸治療に必要なガイドラインを学ぶには最適で、読めば読むほど東洋医学の奥深さが伝わってきます。昭和24年に初版が出されて以来、長きに渡って読み継がれてきたその重みも大切にしたい本です。
 古典的な治療を志す治療家の入門書として、いまだに廃れないスタンダードかつ最適な一冊です。司会者、質問者、それに答える先生の講義形式で書かれているので、読みやすい本でもあります。

経絡治療草創期の先生

柳谷素霊、井上恵理、本間祥白、竹山晋一郎、丸山昌朗、岡部素道など

参考図書

『昭和鍼灸の歳月』

『経絡治療のすすめ』 首藤傳明著 医道の日本社

『経絡治療のすすめ』

著者 首藤傳明
発行 医道の日本
価格 3255円(税込み)

お薦め度 ☆☆☆☆☆

現在の日本の経絡治療の第一人者である首藤傳明先生の初期の作品です。脈診の基礎、経絡治療の基礎を伝える好著です。

btn_amazonbuy.gif

『経絡治療のすすめ』の著者である首藤傳明先生は、現在(2008年現在)、伝統鍼灸学会の会長をしております。首藤先生は、超旋刺という独特な技法を臨床経験から編み出し、多くの講演会や、医道の日本誌などでも発表をしておりますが、意外にも、まとまった記述として本になっているのは少なく、この『経絡治療のすすめ』と2009年7月に発売された『超旋刺と臨床のツボ』 首藤傳明著 医道の日本社くらいではないでしょうか。それは、首藤先生が臨床家として毎日鍼灸治療に従事している証のようにも思います。

 首藤先生は、現在でこそ経絡治療の第一人者の一人として鍼灸師の目標となっていますが、先生の臨床のスタートは、澤田流太極療法を中心にしたものだったそうです。しかしあるときの経絡治療学会の夏期研修に参加してからは、古医書に根ざした経絡治療に目覚め、その習得へ邁進し、現在もその追究に余念がありません。
 長年慣れ親しんだ自分なりの体系をかなぐり捨てて、経絡治療の勉強を始めることは、治療家としては勇気のいることだと思います。しかし、今まで自分がしてきたことを捨てるに足る魅力と効果が、古典的な治療にあることを感じていたのだと思います。本書『経絡治療のすすめ』は、そんな首藤先生が苦労を重ね、試行錯誤をしていたころの作品です。この本が世に出てから25年以上が経ち、首藤先生自身の臨床的気づきや、古典の解読からみたら、だいぶ古い内容になっていると思います。しかし、この本の重要性は、どのような実践的練習を積んできたのか、どういったことに着眼点を置いて勉強してきたのか、そういった古典を学ぶ者にとって、最初に知っておきたい基礎的な勉強方法、古典への姿勢というものが記されており、今でも十分読む価値のある内容になっています。脈診、病因病証、五行の関係など、古典治療を習得してためには避けて通れないものを分かりやすく解き、初歩的な理解を助けてくれます。
 この本は、経絡治療や脈診の概要から始まり、脈診の位置、取穴の仕方などを、初心者に向けて平易な文章で書いてあり、まさに“すすめ”的な内容になっています。日本伝統鍼灸学会の会長であっても、初歩的な時代があり、そこからの積み重ねをして今日の首藤先生があるだと思います。伝統的な治療を学びたい鍼灸師の方へ、とてもお奨めな一冊です。経絡治療の入門から、中級くらいまでをカバーする内容であると思います。

『鍼灸真髄 澤田流聞書』 代田文誌著 医道の日本社

『鍼灸眞髄-澤田(沢田)流聞書』

著者 代田文誌・澤田健
発行 医道の日本社
価格 2205円(税込み)

お薦め度 ☆☆☆☆

お灸の名人であった澤田健先生の治療風景がよみがえるような一冊です。澤田流太極療法と呼ばれる選穴の基本を学ぶことができます。鍼灸を学び始めた初心者の方から読める本です。

btn_amazonbuy.gif

 昭和初期から戦前にかけて、治療院前に門前市をなすほどに活躍したと言われるお灸の名人がいました。横山大観の腸チフスを治したという逸話もあり、また、経絡治療家である丸山昌朗は、沢田先生とそのお弟子さんであった城一格によって病を治癒してもらい、その後医者になりながらも、その恩に報いるために、鍼灸治療に専念したそうですが、沢田先生の周りにはそういったエピソードが尽きなかったようです。
 そんな沢田先生の治療をそばで見ていた通い弟子の一人が、著者である代田文誌です。代田文誌が通い弟子として沢田先生の治療の様子を観察し、その治療の様子を記録してたのが本書『鍼灸眞髄』です。代田文誌は歌人でもあり、文章を記すのが好きだったようで、その力量が本書にも発揮されています。
 沢田先生が好んで使った三つの経穴は、「中かん」「左陽池」「百会」ですが、これらの経穴は症状や病気を問わずに、身体全体を整えるものとして常用され、沢田先生の灸治療は、“沢田流太極療法”と名づけられることになりました。この代田先生の聞き書きである『鍼灸眞髄』からは、名人・沢田先生の灸の醍醐味をうかがい知ることができ、また臨床の様子などを垣間見ることができます。鍼灸初期の頃には、まず特効穴を学ぶことが求められることが多いですが、お灸による経穴を学ぶには好著だと思います。