『積聚治療-気を動かして冷えを取る』
著者 小林詔司
発行 医道の日本
価格 3675円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
積聚治療という鍼灸の一流派を創設した小林詔司氏自身による、積聚治療の解説本。脈診によらず、誰にもわかる腹診を基にした治療方法は、学ぶところがあると思います。内容は専門家向けです。
小林詔司先生は、積聚治療を創始した方です。積聚治療とは、大まかに言いまして、腹診を中心とした診察方法を主にして、そこで診られた積聚(腹部の硬いところ)を症を立てるときの基準にして、その症を元にして、背部の兪穴で治療をしていくという方法論です。小林先生の発想のスタートには、鍼灸免許を取ったにも拘らず、臨床経験が少ないために、卒業してから鍼灸の仕事を続けていくことが困難であったり、治すことが出来ないために辞めてしまう卒業生が多いことに気づき、そこを短期間で克服するために、どうにかシステム化できないかという思いがあったようです。経絡治療や古典的な治療を志した場合、どうしても脈診や、四診法などを習得する必要がありますが、これらを習得することは簡単なことではありません。特に脈診などは、複数の先生が見た場合に、一人の先生は肺虚証といったり、もう一人の先生は腎虚証といったり、客観的な基準を見出すことが出来ず、学ぶほうも常に迷いながらの連続になってしまいます。そこで小林先生は、腹部の硬結という、誰が触っても明らかに分かるようなものを基準にして、積聚治療というシステムを考え出しました。そしてさらにユニークなのは、その腹部の積聚を、背部の兪穴で治療していくところにあります。
この『積聚治療-気を動かして冷えを取る』の中では、積聚治療の基本的な流れもさることながら、小林先生が長年の臨床経験の中で培ってきた身体の観方、病気の成り立ちなどが詳細に記述されています。また、臨床例なども豊富に載っていますので、参考になることも多く、これを一冊読むだけでもかなりの臨床的応用を身に付けることが出来るのではないでしょうか。初学者の方から上級者の方まで、示唆の多い一冊です。
『経絡テスト』
著者 向野義人
発行 医歯薬出版社
価格 3150(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
古典鍼灸で言うところの経筋の治療といって良いかもしれません。身体の動きに沿った検査を元に、異常のある流注への施術という極めてシンプルな治療方法ではありますが、とても効果があり、初心者でも入りやすい内容です。
「経絡テスト」とは、福岡大学の向野義人先生が体系化したものです。おそらく経絡というよりは、経筋を扱った治療方法であると思われますが、それは、本書の中において、「操体法」が少し引用されていることからも分かります。いずれにせよ、「経絡テスト」という一つの明確な指針を示しているので、内容としても、臨床としても、とても分かりやすく、実践的なものになっています。
身体に張り巡らされた経絡と同じ走向部位で、現代医学で言う筋肉の連携部位のつながりを経筋といいます。経筋の症状は、スポーツ障害をはじめとする、運動器の疾患全般に出てくるものなので、こういった疾患に対してはより効果を発揮すると思います。しかし本書の中では、運動器疾患の他に鼻づまりや、生理不順、冷え症なども扱っているので、経絡テストおよびその治療によって改善される症状も多いのではないかと思います。そういった意味においても、とても実践的です。
古典的な治療をしている立場から考えますと、本書の提唱する経絡テストは、経絡の走向を意識することにつながりますので、どこの経絡の調子が狂っていて、どこの臓腑の正気が虚しているかを診察に使用することができますし、実際に治療にも応用することも可能ではないかと思います。本書の作成には、中医学の先生も入っているので、古典的な治療の概念と、経絡テストでの考え方の整合性も試みており、その応用の範囲にも広がりがあり、とても興味深いものがあります。古典で頭がいっぱいになったとき、少しこのようなものを読んでおくと、また新鮮な知識を得ることができると思います。
『経絡テストによる診断と鍼治療』
著者 向野義人
発行 医歯薬出版社
価格 3150(税込み)
お薦め度 ☆☆☆
上述した『経絡テスト』 向野義人著 医歯薬出版社をより深めた内容です。『経絡テスト』 向野義人著 医歯薬出版社と併せることで、より深く経絡テストが理解できるようになります。
上述した『経絡テスト』 向野義人著 医歯薬出版社をより深めた内容で、より実践的な内容になっております。『経絡テスト』 向野義人著 医歯薬出版社と併せて読むことで、経絡テストをより深く知ることができ、経絡、経筋、流注といったものに対してもより実践的で、目的を持った診断をすることが可能になると思います。経絡テストと五行との関連など、新しい試みも興味深く読むことができます。
是非両者を併読することをお奨めいたします。
『レディース鍼灸 ライフサイクルに応じた女性のヘルスケア』
著者 矢野忠
発行 医歯薬出版社
価格 5250円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
女性と東洋医学・鍼灸との相性の良さは、古来より知られています。この本は、女性特有の病気を、現代医学的な視点と、東洋医学・鍼灸医学的な視点の両者で解説しています。女性の患者さんが多い治療院などには特にお薦めです。
鍼灸師として、鍼灸の治療の効果を臨床で見ている者として、鍼灸治療という医療が、もっと多くの方に一般的になればいいなと願っていますが、中でも女性と鍼灸の相性はとてもいいので、女性の方にもっと活用していただけるようになればいいなと思います。最近では女性鍼灸師も増え、女性専門の鍼灸治療院も増えていますので、その機運がさらに高まっていってほしいと願います。
女性の身体は、毎月の生理や、赤ちゃんを産む役目があるなど、とても繊細であります。また女性の場合、一生のライフサイクルの中でも、ホルモンバランスが変化したり、ストレスの環境も変わりやすく、その年代年代によって変化がありますので、治療家としてもその変化を考察しながらしっかりと対応していくことが大切になります。このような身体の微妙な変化は、西洋医学的な数値で現れることも少なく、またそれに対しての治療も、対処療法の域に留まるために、根本的な治療がなされなかったり、治療方法がないと言うことも少なくありません。そしてホルモン剤などによる治療は、女性の身体のライフサイクルとは逆行するものもあり、かえってその副作用に悩まされることも少なくありません。
このような繊細な女性のライフサイクルに合わせて対処できるのが、東洋医学・鍼灸治療の優れた点でもあります。本書では西洋医学的な知識と、東洋医学的な知識がバランスよく含まれています(どちらかというと西洋医学的知識の方が詳しいところがあります。)。女性の身体に特有な病気、症状などの解説に詳しいので、東洋医学的な治療をメインにしている方にとっても、病気の成り立ちを理解するのにとても役に立つ一冊です。鍼灸臨床家にとって、一冊置いておくと便利だと思います。一般の方で、東洋医学に興味のある方にとっても読みやすい本だと思います。
『鍼灸治療基礎学』
校訂 澤田健
著者 代田文誌
発行 鍬谷書店
価格 4305円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
初版は昭和15年で、長年愛読されているベストセラー。澤田健先生の通い弟子であった代田文誌氏が、自分の臨床経験を織り交ぜながら、一つ一つのツボを、多くの書物からまとめあげた著作。澤田健先生の治療体系も垣間見ることができます。
鍼灸治療の基本となる経絡は、十二正経と、奇経に含まれる任脉と督脉です。中国の医家である滑伯人(または滑寿)は、この二つを併せた解説書として、『十四経発揮』という本を書き上げ、これは日本の経穴学の基礎となる一冊とされてきました。ここからも分かりますように、経絡の中でも、この十四経はたいへん重要視されてきました。本書はその十四経とそのツボの解説を中心に、澤田健先生の澤田流太極療法のポイントを解説しています。
本書は様々な古医書を元にしながら、著者である代田文誌氏の臨床経験を加味して、十四経の経穴をまとめ上げています。取穴部位はもちろんのこと、経穴の別名や、その主治も載せてありますので、経穴をもっと知りたい方や、これから経穴を覚えていく鍼灸の初心者などにもお薦めですし、ベテランの先生のとっても、時折めくるにはちょうどいい本かもしれません。
代田文誌氏は、その当時その名も天下に轟いていた、お灸の名人である澤田健先生の通い弟子をしていた人です。澤田健先生の治療を間近で見ながら、澤田健先生の治療体系を学び、長野の自宅に戻っては実践し、そしてその成果を書物としてまとめて、多くの鍼灸師に啓蒙をしてきた方です。また代田文誌氏は俳人としても活躍した方ですので、文章とその内容にも定評があります。代田文誌氏が書いた『鍼灸眞髄-澤田(沢田)流聞書』 代田文誌・澤田健著 医道の日本社と併せて読みますと、より澤田健先生の姿が蘇ってきますので、両者合わせてのご購読をお薦めいたします。
代田文誌氏のそのほかのお薦め本
『鍼灸眞髄-澤田(沢田)流聞書』
著者 代田文誌・澤田健
発行 医道の日本社
価格 2205円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
お灸の名人であった澤田健先生の治療風景がよみがえるような一冊です。澤田流太極療法と呼ばれる選穴の基本を学ぶことができます。鍼灸を学び始めた初心者の方から読める本です。








ジャンル別カテゴリー

