『中国医学の歴史』
著者 行維康(編集)・川井正久(翻訳)など
発行 東洋学術出版社
価格 6615円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
東洋医学・鍼灸医学の歴史(中国におけるもののみ)を、古代から近代まで網羅した百科事典的な資料としてお薦めです。索引も充実しており、掲載されている人物や書物も、細かいところまでカバーしています。
東洋医学は、広義には中国医学と同義に扱われていますが、この中国で起きた伝統医療は、はるか昔の古代中国に遡ります。その起源をどこに持ってくるかということに様々な定義があるかと思いますが、鍼灸で言えば、動物の骨を使用して行っていた形跡もあるとかで、文字が発明される以前からその萌芽はあったようです。文字が発明されてからは、まず、卜占に使用された甲骨文字の中に、病気に関して神事を求めたものがあるようで、人類が病気というものに意識して対峙した初めての記述の一つに挙げられます。このときはまだ医療というよりは、占いやまじないの類の面が色濃かったようです。そして陰陽五行や、経絡・経穴の発見などがあいまって、徐々に体系が形作られて『黄帝内経』の確立へつながっていきます。『黄帝内経』が原典として確立してからは、各時代の名医達が研鑽を重ね、『黄帝内経』をベースにしながら発展を続けてきました。
中国医学には、主に鍼灸と湯液(漢方薬)の2方面があります。湯液は生薬の数も多く、薬方も数多く発明されてきたために、宋以降は鍼灸よりもメインになっていったようなところがあります。
古医書を読む上で、その古医書が書かれた時代背景や、人物について知っておくことも大切な要素となります。どういった考えで書かれた本なのかを理解して読みますと、その古医書の伝えんとする趣旨が伝わることがあります。この本は、中国医学の百科事典と言える内容で、人物や古医書の書名、そして時代背景なども細かに書かれています。『漢方の歴史-中国・日本の伝統医学』は一般の方にも読みやすいボリュームですが、こちらは膨大な資料ですので、主に専門家にとって重宝する一冊になると思います。
『現代語訳 黄帝内経 素問』 上巻
『現代語訳 黄帝内経 素問』 中巻
『現代語訳 黄帝内経 素問』 下巻
著者
南京中医学院
島田隆司・石田秀美他訳
発行 東洋学術出版
価格
上巻 10500円(税込み)
中巻 9975円(税込み)
下巻 12600円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
『黄帝内経・素問』の原文、読み下し文、解説が揃った本です。少々お高いですが、内容と鍼灸師としての必要性を考えると、揃えておきたい本です。
『黄帝内経』は、東洋医学・鍼灸医学の原典と呼べる位置にある本です。この本の原型は2000年前にすでに完成されていたと言われていますが、完成されて以後、多くの医家が解釈を加え、東洋医学の世界を広げていきました。今日においても、尚この『黄帝内経』は、東洋医学を志す者にとっては、見過ごすことが出来ない原典です。
原文は簡潔に書かれておりますので、本文だけを読んだだけではなかなか中身を理解することは難しいところがあります。また、鍼灸医学・東洋医学の中でも、古典的な治療を目指す方にとっては、原文が持っているニュアンスを組んでいくことが大切になりますので、出来れば、いずれ原文である漢文に挑戦してほしいところです。しかし最初は漢文を読みなれていないと、いきなり原文に当たることは難しく、途中で挫折してしまい、原文そのものから離れてしまうということになりかねません。
その点この『現代語訳 黄帝内経 素問』 上巻は、原文と読み下し文、さらには日本語の現代語訳、語句の解説などが併記されていますので、読みやすいと思います。現代語訳の中には、少々各先生が独自に意訳をしているところもあり、全てをそのまま受け入れることには難もありますが、一つの解釈の参考になりますので、古典、『黄帝内経』に親しむ本としては適していると思います。
訳者の一人である故・島田隆司先生は、長年経絡学会(現・伝統鍼灸学会)の会長を務めた方でもあります。
『現代語訳 黄帝内経 霊枢』 上巻
『現代語訳 黄帝内経 霊枢』 下巻
著者
南京中医学院
石田秀美・白杉悦雄訳
発行 東洋学術出版
価格
上巻 11550円(税込み)
下巻 11550円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
『黄帝内経・霊枢』の原文、読み下し文、解説が揃った本です。少々お高いですが、内容と鍼灸師としての必要性を考えると、揃えておきたい本です。
上述しました『現代語訳 黄帝内経 素問』 上巻の『霊枢』版ですので、内容などは上述の記述を参考にしてください。
『素問』と『霊枢』は原典として兄弟、姉妹のような存在です。『素問』とともに、こちらもそろえておくことをお勧めいたします。
『中国鍼灸各家学説』
著者 魏稼(編集)、佐藤実(翻訳)など
発行 東洋学術出版社
価格 3570円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆
『黄帝内経』が完成して2000年の歴史がありますが、この間に登場した著名な歴史上の医家を紹介した本です。臨床に直接関係ないという点でお薦め度は☆3つですが、今後の資料探しという点ではとても参考になる一冊となります。
鍼灸の歴史は、遥か昔に骨鍼や砭石(へんせき)といったものが発明されてから始まりました。そして今から2000年以上前に、『黄帝内経(こうていだいけい)』という原典が完成されました。この原典の出現によって、鍼灸医学は体系化され、発展が始まりました。その後この『黄帝内経』を基にしながら、各時代に現れた医家たちが、時代の要請に応えながら、そして臨床経験の中から『黄帝内経』の解釈を深め、広げていきました。
その発展に寄与した鍼灸医師は、有名無名含めてたくさんの数に上ると思われます。この本は、その中でも歴史的に見ても大きな功績を残した重要な鍼灸医家を集めています。最初の総論においては、鍼灸の流派を改めて分類し、そしてその系譜を明らかにし、東洋医学の進展を記しています。各名医たちのプロフィールや時代背景などを理解することで、専門家にとっては古医書をより深く理解するための役に立ちますし、一般の方にとっては、鍼灸の発展の歴史を突っ込んで理解するのに役立つと思います。漢方薬の視点で以下を分類した本はいくつかありますが、鍼灸という視点で医家を分類している本は少ないので、そういった意味でも貴重な一冊となります。
『経穴マップ』
著者 王暁明・金原正幸著
発行 医歯薬出版
価格 3150円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
鍼灸治療では欠かせない“ツボ(経穴)”をまとめた本です。とてもわかりやすく、カバーしているツボの数も豊富なので、手元に置いておきたいお薦めの一冊です。
経絡経穴(けいらくけいけつ)は、鍼灸医学の基本中の基本です。この経絡経穴の運用を学ぶ前に、しっかりと名前や位置を覚えておく必要があります。そのためには、絵で観て分かる直感的なものがあると便利です。この『経穴マップ』は、十二正経と奇経だけではなく、奇穴なども網羅しています。さらに筋肉や骨の名前が記されているので、場所も特定しやすいところがあります。特に鍼灸学校で学び始めた方には、筋肉や骨の解剖学を学ぶにも便利で実践的な一冊になると思います。後述する『カラーアトラス取穴法』が実際の男性の写真の写真を利用しているのに対して、こちらはイラストで描かれています。体表部の位置を直感的に知るためには『カラーアトラス取穴法』が良く、より具体的な解剖学的知識を知るためにはこちらの本が良いかと思います。









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