『カラーアトラス取穴法』
著者 山下詢・形井秀一著
発行 医歯薬出版
価格 2940円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
十二正経と奇経の任脉・督脉の流注を、実際の男性の身体にプロットしていった写真が特徴で、直感的にわかりやすいため、臨床に使いやすいところがお薦めです。
鍼灸を学び始めて最初に覚えるのはツボと流注ではないでしょうか。学校の授業でも、先生がモデルの生徒に丸いシールを貼ってツボを教えてくれたことがありました。ツボを覚えていくためには、解剖学的な位置とともに、骨度法と呼ばれる方法で、実際の場所を確かめて行く必要があります。鍼をするはツボですから、鍼灸術を修得するためには、この取穴というものを無視することは出来ません。また治療だけではなく、診察をしたり、病症を確かめるときなどにもまた、流注やツボの知識、正しい位置を知ることは必須となります。
取穴にはを学ぶには実践がものをいいますが、実践を補う直観的なテキストがあると何かと便利だと思います。この『カラーアトラス取穴法』は、ツボの詳しい解説というよりは、取穴をするときの直観的な資料といったものです。実際の人体の写真に書かれた流注とツボの位置を、大きな写真で見ることができます。紙面も大きいのではっきりと分かりますし、実践的です。専門家はもちろん、一般の方にとっても、ツボを見つけるのにいい資料となると思います。
著者は正奇経の理論でも著名な山下詢先生と、経穴の標準化の国際会議のメンバーでもある形井秀一先生です。
『鍼灸医学辞典』
著者 鍼灸医学辞典編集委員会
発行 医道の日本社
価格 5670円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
鍼灸を勉強し始めの方にとって、あらゆる用語は未知のものだと思います。まずは手元に置いて調べるためには、こういった辞書は役立ちます。
鍼灸医学に関する言葉は、慣れないうちはイメージがつきにくいところがあります。勉強を始めたばかりのときは、まず、それぞれの言葉が持っている概念を大まかにでも把握する必要があります。ここで躓くとなかなか勉強をする意欲が沸いてこないものです。まずは独特な言葉に慣れ親しむことが大切になります。
この言葉の壁を乗り越えますと、次の段階に入っていきますが、さらに細かな内容や使われ方は、ある程度臨床経験が進んでから少しずつ分かっていくもので、ゆくゆくの勉強の中で学んでいけば良いことです。しかし、その前に立ちはだかる東洋医学の言葉の壁。これはもうひたすらになれ、親しんでいくことが大切になります。そこで、分からないときはすぐにその言葉を把握するということが必要です。何を学ぶにおいても、この言葉の把握は大切になると思いますが、そのときに欲しいのが辞書であります。そういった意味では、この『鍼灸医学辞典』(鍼灸医学辞典編集委員会)は鍼灸医学を学ぶものにとっては、大変重宝するものであります。鍼灸医療全般についての辞典ですので、古典的な鍼灸にこだわらず、鍼灸の様々な分野に関連する語句が集められています。何かというときには役に立つ一冊ですので、初学者のときから持ちたいものです。
『身体運動の機能解剖』
著者 Clern W. Thomson, R.T. Floyd
翻訳 中村千秋、竹内真希
発行 医道の日本社
価格 4515円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
腰痛、肘痛などの運動器疾患は、鍼灸の臨床で多いものです。どのような動きで痛みが発するかなどを知るためには、運動器の動きを知っておく必要があります。そしてそれを経絡に応用することで、鍼灸医学に結びつくと思います。本書は運動器の動きを、たくさんの写真と図を使って解説しておりますので、臨床で傍においておきたい一冊です。
鍼灸医学で身体を理解しようとする場合、身体の動きに関しては経絡・経筋といったものをイメージしながら見ていくことが多いものです。しかしながら、それら経絡・経穴といったものは、鍼灸医学を専門にしているものにとってはスタンダードなものであっても、世間一般的に知られているものではありません。むしろ患者様が鍼灸院に足をお運びになる時には、「整形外科では胸鎖入突筋に異常があるのではといわれたのですが・・・。」とおっしゃったり、、また、スポーツを専門にやっている方などは、「ハムストリングが・・・」と専門用語を使う方も多くいらっしゃいますので、鍼灸治療者としてもその言葉と解剖の意味を知っておく必要があります。また、そういった身体の動きに関する解剖を知ることは、現代解剖学の知識を習得するという意味だけではなく、その動きを知ることによって、経絡・経筋の分布を理解する手助けにもなります。
本書は、身体の動きとそれに関わっている筋肉や骨の動きを、写真とイラストで丁寧に図解しております。身体の動きを理解するとともに、患者さんに動きのテスト(経絡テストなど)をするときにも、これらの図がとても理解の助けになります。本としても扱いやすい大きさと紙質なので、手元においておいて参考にするにも便利です。特に鍼灸学校に通っている学生の方には、解剖学をスムーズに理解し、学ぶために最適な一冊になると思います。一般の方、たとえばスポーツをやっていて、ある筋肉だけを特別に鍛えたい場合などは、この本を参考にして、その筋肉を使う動きを勉強しておくと、トレーニングの効率化につながると思います。
『漢辞海』
著者 濱口富士雄著 戸川芳郎編集
発行 三省堂
価格 3045円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
古医書を読んでおりますと、わからない漢字がたくさん出てきます。また、普段何気に使っている漢字も、改めて調べてみると意外な意味があり、それが古医書の解釈を深めることが多々あります。『漢辞海』は引きやすく、見やすく、解説もすばらしく、お薦めの漢和辞典です。
東洋医学・鍼灸医学の原典は古医書にあります。古医書を原文で読むためには、漢文の知識がある程度必要です。そして、分からないときは漢字を一つ一つ調べることも必要になります。
この両者の必要性を満たしてくれるのが、この漢和辞書『全訳・漢辞海』です。
漢字に関しては、その意味はもちろんのこと、引用文の全訳、漢字の成り立ちなどがしっかりと掲載されています。そして漢文を読むための知識ですが、助詞などについては語法も十分に載っており、また慣用句、熟語なども豊富です。
また東洋医学・鍼灸医学の古医書を読む際に、とても参考になるのが巻末の付録です。助詞などの語法をまとめたものや、中国の歴史の流れを知るための年表、地図なども掲載されており、まとまった資料として使用できます。単なる漢和辞書の範囲を超えて、古医書を原文でしっかりと読もうと考えている鍼灸師にとっては、とても貴重で重宝する辞書となっています。
編集には、東大名誉教授も勤められた戸川芳郎先生も携わっており、信頼の出来る充実した辞書となっています。
辞書の文字や構成、開き具合もよく、辞書としての機能もスムーズに果たせます。
『陰陽五行学説入門』
著者 中村璋八・中村敞子共訳
発行 たにぐち書店
価格 3150円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
東洋医学・鍼灸医学の基本である陰陽五行学説を、分かりやすくまとめています。古典的な鍼灸治療を学びたい方には、最初に読んでおきたいテキストです。
本書は題名通り、陰陽五行学説の入門書です。上に取り上げました『陰陽五行説 その発展と展開』 根本幸夫・根井養智著 じぼうと比較しまして、ページ数も薄く、五行の基本的な考え方を主に取り上げています。
東洋医学や鍼灸医学を学ぶ際に、どうしても身についておきたい考え方が、陰陽論であり五行論です。この陰陽五行は、とてもシンプルで分かりやすい考え方ですが、実際にどこまで有効なものか、どこまで治療に活かせるのかということになると、尻込みをしてしまう治療家の方も少なくありません。また逆に、陰陽五行を巧みに使うことが出来る治療家にとっては、これほど便利で、これほど有効なものはないとおっしゃることでしょう。
この本の原書は、内蒙古医学院中医系主編の『自学中医之道』叢書に含まれたものを翻訳したものです。原著は中国各地の中医学院の校閲を経た権威あるもので、内容は、現在中国で学ばれているスタンダードな五行学説が書かれています。そのため、内容はまさにベーシックで、“入門”となっています。しかし、入門といいましても、内容はとても深く、参考に出来る箇所は入門者のみならず、中級者以上にとっても多くあります。また、ある程度学問が進み、確認するためにもう一度読んでみると、新たな発見や気づきがあるのも、本書が良書であることを示しています。
訳者はすでにご紹介している『五行大義(上)』『五行大義(下)』の中村璋八先生と、その奥様でいらっしゃる中村敞子先生のよるものです。陰陽五行学説の入門書としてぜひとも一読しておきたいものです。







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