『まんが易経入門ー中国医学の源がわかる』
著者 周春
発行 医道の日本社
価格 1680円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆
易は、森羅万象の動きを捉えるのが本来の姿ですが、“医易同源”と言う言葉があるように、人体や、人体を取り巻く自然の動きを察知するという意味で、医学にも応用することができます。そういった易の思想を知る入門書です。
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東洋医学の根底には、東洋哲学・東洋思想があります。東洋医学に応用された東洋思想の哲学書として、『五行大義』や『淮南子(えなんじ)』などの本がありますが、そういった中で、『易経』の概念もまた様々なところで応用されています。
その中でもとりわけ重要なのは、命門学説ではないでしょうか。命門とは東洋医学独自の考え方で、生命力の源のことを指します。この命門は、精子(陽・男)と卵子(陰・女)の交接、先天の気と好天の気の交合といったものと関係しており、さらに、腎陽と腎陰の区別、君火と相火の区別といったものにも応用され、東洋医学ならではの世界観を表現しています。
この現象のことを、端的に「水火既済(すいかきせい)」という言葉で著しますが、この言葉は『易経』から来ています。水と火は、五行関係で言えば相克になり、水が火を消す関係になります。しかし、命門学説で言うと、水の精と、火の神のがつながることで、“精神”となり、それが生命を生み出す原動力になると考えられます。一方では相克で反目し合い、一方では生命を生み出すために協力をするという関係になり、矛盾しているようにも思いますが、多面的な生命のあり方を捉えた多面的解釈であり、どちらも矛盾なく並立して存在しています。このような逆の発想が同時に並立する考え方は、西洋医学にはないので、古医書を学ぶときには面食らったりします。そこで、本書のような哲学的なものを学ぶことで、生命をトータルで理解しようとする生命観を感じることができます。また、命門学説など、東洋医学独特の生命観を学ぶためにも、このような入門的でもよろしいので、一読しておくことをお勧めいたします。
『教科書では読めない中国史』
著者 冨谷至著
発行 小学館
価格 1575円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆
タイトルの通り、教科書には書いていない中国の歴史や文化の50のお話が詰まっております。臨床に直接は関わりませんが、古医書を読む上で知っておきたい歴史のお話もあったりと、参考になる一冊です。
東洋医学・鍼灸治療の起源は、言うまでもなく、中国にあります。
東洋医学・鍼灸治療が効くかどうかは、言うまでもなく、治療者の勉強(学問)と技術の研鑽にあります。
中国の歴史を知ることは、直接的に東洋医学や鍼灸治療を学ぶことにつながるわけではありません。しかし、中国発祥の医療である東洋医学・鍼灸治療をせっかく勉強しているのですから、中国の歴史を知り、中国に触れるということは決して無駄なことではなく、自分の中にある“知る”喜びを育てることになると思います。東洋医学・鍼灸治療は、多くの人が歴史の紐をつむぎながら継承してきた歴史があります。『黄帝内経』という原典をベースにしながら、その時代、その社会に合う形で原典は解釈を重ねて生き返り、そして再び次の世代へ受け継がれていく、まさに歴史の中で、人々の中で育まれた医療なのです。
例えば李東垣(りとうえん)の『脾胃論(ひいろん)』という古医書がありますが、これは、漢民族が北方から圧迫されて、戦乱が続いた時代に書かれたものです。この時代は戦乱のために心は常に不安と悲しみに暮れ果てていましたので、内傷(ないしょう)という概念が強調された時代でした。『黄帝内経』にすでにあった内傷の概念を、さらに発展させ、一つの病因論にしたのは、中国の歴史の要請、そしてその時代に生きる人々の要請があったからとも言えます。
この『教科書では読めない中国史』は、タイトルどおり“教科書では”読めないようなものを知ることができます。例えば第一章第一話にある“ひとりにたくさんの名前がある”は、中国人の名前に号があったり、字(あざな)があったりを解説しているのですが、上述した李東垣にも、李杲(りこう)という呼び名があります。それはどうしてか?・・・ということを知ると、古医書の世界もまた楽しく、そして古医書を探す時の資料にもなります。患者さんに古医書の世界を紹介する時にも、まとまった話が50もある本書はとても役に立つと思われます。
『東方栄養新書-体質別の食生活実践マニュアル』
著者 梁 晨千鶴
発行 メディカルユーコン
価格 2100円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
東洋医学・鍼灸の一分野である食養生。各食材が持っている東洋医学的な分類をし、あわせて現代栄養学の知識も豊富な本。家庭でも使える本なので、一般の方にとってもとても参考になる本です。
東洋医学には本草学というものがあります。この本草学は、漢方薬に使われるような薬草だけではなく、あらゆる自然界のものを分類した百科事典のようなもので、『神農本草経』、『本草綱目』などが有名です。特に東洋医学・鍼灸医療の面で見ますと、我々が普段の生活で口にする食べ物は、医食同源という言葉からも、とても大切であることが分かります。
この『東方栄養新書-体質別の食生活実践マニュアル』は、冒頭に東洋医学の概念を詳しく解説してあり、また、食事に関する注意点なども詳しく述べられています。
各食材には、「体質・症状の相性」、「自然の属性」という東洋医学的な観点からの表が付いており、その食材が持っている性格が自分に合っているかどうかがすぐ分かります。本文の記述は、西洋医学的な知識・栄養学の記述の他に、東洋医学から見た食材の性格が併記されております。その他本文の記述には、「コラム」、「古典より」、「話題の栄養素」といったものもあり、参考になる豆知識を得ることができます。この本の記述の引用には、『本草綱目』の名前がありますので、古典的にも信頼のおける一書ではないかと思います。
『本草綱目』など、古典にある本草書は、まさしく百科事典のごとくたくさんのものを扱っていますが、現代のこの時代と比較しますと、バナナやトマトといったその後新しく移入された野菜や果物は含まれていません。そういったものも東洋医学的に見て考察したいものなのですが、いかんせん古典が書かれた時代にはなかったので、その記述を見つけることはできません。そういった意味では、この『東方栄養新書-体質別の食生活実践マニュアル』は、現在我々が手にできる一般的な食材のほとんどを網羅していますので、現代の本草書としてとても役に立つと思います。お値段も安いので、家庭に一冊おいておくことをお奨めいたします。





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