『東洋医学を知っていますか』
著者 三浦於菟
発行 新潮選書
価格 1155円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆☆☆
一般の方のための新潮社の選書シリーズでありますが、内容は高度なものを含み、中級者くらいまで幅広くためになる情報があります。すべてQ&A形式で進められているので、一つ一つクリアにしていく感じで読みやすいです。
すべての項目がQ&A形式でまとめられており、文章も丁寧で読みやすい内容になっています。各章のタイトルを挙げてみますと、「東洋医学とはなにか」「東洋医学理論について」「東洋医学の生命観」「病気をどう考えていくか」「治療方法」「漢方薬の話」「方剤の話」となっており、タイトルを見ても、本書を読み進めることで、東洋医学の考え方を基礎から積み上げていくことがでることが分かると思います。著者は漢方薬の専門家のため、「治療方法」以降は漢方薬のお話が中心になりますが、その中には高度な話題も含まれており、鍼灸師にとってもとても参考になる部分が多くあります。
本書の内容はたいへんオーソドックスですので、東洋医学・中医学の考え方、理論、方法などをバランスよく、正確に理解することができます。注もしっかりしていますので、初心者から中級者まではもちろんのこと、上級者にとっても、東洋医学を概観していくのに役立ちます。この内容でこの値段はかなりのお薦めではないでしょうか。
『東洋医学の本-心と身体に効く奇跡の療法を探る』
発行 学研
価格 1260円(税込み)
お薦め度 ☆☆☆
学研エソテリカシリーズにありがちな神秘性を含ませているため、お薦め度は☆三つになりましたが、東洋医学・鍼灸医学が含む分野を幅広く解説しているという点で、参考になる一冊です。専門家よりも、一般の方にとっては興味の沸く作りになっています。
この本は、学研のエソテリカシリーズの中に収められている一冊です。このシリーズは仏教、修験道、陰陽道など、あまり一般の方が目に触れないような“異界”に住むものを扱っているシリーズです。そのシリーズの趣旨に漏れず、この本もまた、サブタイトルに「奇跡」という言葉があるように、そういった神秘的な部分がクローズアップされているところは否めません。
東洋医学は、その体系を成してから2000年以上の歴史を持ち、今日も有効活用されている列記とした医療ですので、このようなシリーズの中で語られてしまうのは、正直違和感を覚えます。東洋医学は“奇跡”を起こすような魔術でもなく、神秘主義ではありません。そういった意味で考えますと、この本を強くお勧めすることは出来ませんし、東洋医学に“奇跡”を期待しないで欲しいと願います。
しかしながら、東洋医学の様々な面を取り上げているという部分で、資料的な価値は十分にあるのではないかと思います。東洋医学の流れや、システム、思想、技術的なものが一通り網羅されており、うまく一冊に納まっていると思います。専門の方には話しの種として、一般的な方にはツボの話しなど、東洋医学全般を総覧するのにはいい本だと思います。図や写真なども豊富で、本としても扱いやすくなっています。くれぐれも、東洋医学は神秘なものではなく、長い年月をかけて人類が築いてきた医療体系であることを念頭に置いてお読みください。
『漢方的スローライフ』
著者 幸井俊高
発行 ちくまプリマー新書
価格 760円(本体価格)
お薦め度 ☆☆☆☆
東洋医学・漢方の知恵を生活に組み入れる、それが著者の提唱する“漢方的スローライフ”。忙しい毎日から少し離れる工夫が掲載されています。
著者は漢方薬の薬局を開設している方で、東洋医学のエキスパートです。
本書は、西洋医学と東洋医学の身体の捉え方の違いを例を挙げて述べるところから始まり、対処療法としての西洋医学、原因療法としての東洋医学と、両医学の特徴をわかりやすく解説しています。しかし著者のスタンスは、どちらの医学も患者さんの“健康の回復のため”という思いの元、お互いを尊重する立場に立ち、東洋医学の専門家として、東洋医学のよいところを本書で解説しています。
目まぐるしい生活環境の変化と、その変化に追いつけない我々の身体の現状から、身体全体を捉えていく東洋医学の身体観を生活に取り入れていくこと、それが本書のタイトル“漢方的スローライフ”であります。特に体質を分類し、その体質に合った生活の提唱、そしてそれを支える食事の大切さを伝えています。後半は少し精神論に偏りすぎた面もありますが、あくせくしないゆったりとした生活は、精神的な面も含めて見直したいものです。患者さんへのちょっとしたアドバイスにもちょうどよい一冊です。





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